「学校がしんどい」「学校へ行かれない」・・・という子どもの話、不登校になっている子どもの数の多さを聞く度に、私はいつも、胸がざわざわしていました。
たとえば、学校に居場所のない子どもは家庭には心理的な居場所があるんだろうか・・・、家だって辛いんじゃないか・・・と。
また、”障害” を持った子どもをそうじゃない子どもと分けて預かるしかない、という現状や、「発達障害」などのレッテルを貼った子どものことを、迷惑な存在、困り者として排除しようとする大人達の狭量さにも、違和感というか悲しさを感じてきました。
ですからこの『「ふつうの子」なんて、どこにもいない』、たびたび膝を打ち、深く共感しながら読みました。
よその学校へは通えなかった子どもが通ってこられる学校って、こういう所なのだな・・・と。
(木村先生が校長を務めた9年間に、全国から50名ほど転入してきたそうですが、その子たちは全員、通ってくるようになったのだそう。)
我々いまの大人が学んだ学校は、本当に旧い。時代錯誤なところ、見直して改めなくちゃならないところがたくさんあるはずです。
根本の所で間違ってるところがあるんでしょう。学校はどういう場所であるべきなのか、子どもたちをどんな人に育てようとしているのか、という根本が。
学校がもう機能しなくなっていることは、当の子どもたちが、なかでも特に様々な面で困窮している弱った子どもたちが、学校へ行けない、という事実で、教えてくれていると思います。
学校が「窮屈」「つまらない」「苦しい」「怖い」・・・ということを、今ほどたくさんの子どもたちが感じていること・・・、それを私たち大人は他人事と思わず真剣に、 “間違っているのだ” と認めて改めていかなくてはならないと思います。じつは急務でしょう。
大人だってなかなかにしんどい世の中ですから、どうしても “ケチくさく” なるんですよね。
うちの子が損するのはいやだ、我が子には よその子よりも優れていてもらいたい、競争に勝ち抜いてほしい、妨げになるものは排除してほしい・・・というふうに。
自分たちが学校でやらされて来たこと(規則を守り、協調し、先生の言うことをよく聞き、嫌なことでも何でもしっかりこなす、というような・・・)を当たり前だと思っていて疑わない人も多いと思いますし。
でももはや、日本の学校で良い学業成績を修めることとか、難関大学から有名企業に入ることとか、そういうことが、必ずしも幸福な世界へのパスポートになどならない時代なのだと、多くの人が気づいているはずです。
実際、「あれほどの優等生が、社会に出たら使いものにならなかった」「結局、人と関われなくて引きこもった」という話は、私の周りにもたくさんあります。
「そうはいっても・・・」と思う親御さんも多いかもしれないです。こんな時代だからこそ “勝って” おきたい、と。
でも、「その子らしく幸せに生きていく力をつけることが大事」というところに異論はないはずで、今の学校って、そういう場所とはいえないんだと思うのです。
木村先生の大空小学校が掲げた「四つの力」・・・いいです。
「人を大切にする力」「自分の考えを持つ力」「自分を表現する力」「チャレンジする力」。
こういう「力」って、どういう場所を用意してやると、子どもは身につけていくのでしょう・・・
急には変わらないでしょうが、それでも私たち大人はもっと、子どもたちがかけがえのない時期を過ごす学校という場所に目を向けて、これからの時代を生きていく子どもたちが本当に必要な力をつけてくれるように、それより何より、とにかく楽しく通っていっぱい感動しながら成長していけるように、できることをしていきたいと思います。
私は、木村先生が初代校長を務めた「大空小学校」の取り組みが生み出している確かな成果に希望を感じました。
大いに勇気づけられて、嬉しかったです。
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