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空港ピアノ

『空港ピアノ』(NHK)という15分の短い番組があります。
世界中の空港のロビーに置かれているピアノ。誰でも自由に引いてよいそのピアノを、空港を利用する人たち・・・これから出発する人、到着した人、また空港で働く人たち・・・が弾く様子を、数台の定点カメラが捉えます。

ほんとうに様々な人が、代わる代わる一曲引いていく様子を映します。
まだピアノを習い始めて間もないという少女、見事にクラッシックの難曲を弾いてみせる音大生やプロのピアノ弾き、世界を飛び回るビジネスマン、元軍人さん、仕事上がりの売店スタッフ、靴磨きの青年・・・

ノーナレーションの番組ですが、演奏しているのを映した画面には、字幕でその人のプロフィールが紹介されます。演奏後にはカメラに向かって少し語ってくれたものも流れます。

祖国の戦火を逃れ家族で移住してきたのだというアフガニスタン出身のドクターは、働きづめで自分を良い職業に就かせてくれた両親と、5ドルのボロピアノを買ってくれたというお兄さんに感謝しているといって一曲・・・
旅行からの帰りだというご婦人は、亡くなった甥っ子に捧げるために作ったというオリジナル曲を披露・・・
よろよろっとほろ酔い状態でピアノに向かった高齢のご婦人は、引き始めるやシャキッとして美しく味のある曲を弾いてみせる・・・

どの人も、その人なりの技術、その人なりの思いで引いて行く様に、惹き込まれて見てしまいます。

空港という所は、たくさんの人が出発し帰着する場所で、たくさんの人の気持ちや意思の交錯する場所ですが、再会があったり別離があったり、向かう場所へ焦っていて肉体から心がはみ出るように前のめっている人がいたり、失意の重いエネルギーの人がいたり・・・
私は空港へ行くといつも、様々な人の “そこから先へ向けられた思い” に触れては、なんともいえないミゾミゾした感じになります。エンパス体質ゆえ疲労を感じることもりますが、あの騒々しさは、他の場所でのそれと違って心地よいことが多いです。
出発ロビーでアナウンスの前に流れるチャイムにはちょっと高鳴ります。娘(絶対音感あり)に確認したら「あれは ♪ミードーミーラー。ドは♯ね」だそうです(笑)。

空港ピアノを弾く人たちがそこで弾く曲は、これしか弾けないという一曲だったり、数あるレパートリーの中からふと思いついて弾く曲であったり様々ですが、その曲にまつわるエピソードには、ほっこりしたり、じーんとしたりします。
譜面見ないでピアノを弾けちゃうのって素敵だな、音楽っていいな、と思います。

この番組、放送が不定期なので番組名を登録して予約をしていて、録れていたら夜寝る前などに見ています。

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