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「口ぐせ」の ぬし

私は、新卒として就職した製薬会社では主にセクレタリー業務をしていたのですが、お世話したボスのひとりに “仕事に関してはとても優秀なんだけど、すごくだらしなくてテキトーな人” がいました。
「忘れ物」など ちょっと病的で、社内でもよく行方不明になり捜し歩いたりしたのですが(ビルが幾つかに分かれて立っていたので大変でした)、その足跡は大概、忘れ物で辿れたほどでした。ヘンゼルとグレーテルか?
海外出張のお土産も、2回に1回はどこかに忘れてきましたね。貴重で高価なものもあったようなのに、残念。

その人のいい加減さ、だらしなさのせいで、関係者や秘書の私はものすごく困らされたり迷惑を被ったりしたのですが、皆から「カンベンしてくださいよ」「少しはきちんとしてください」「まいったまいった」などと言われても どこ吹く風、その人はいつでもニコニコしていてゴキゲンで、テキトーに「上等、上等」と相手の仕事を労い、ちゃっかりした要求が通ると「言ってみるもんだ」と言うのでした。

そう・・・、その人の口ぐせは「上等、上等」、それから「言ってみるもんだ」でした。

その口ぐせを聞く度、なんかムカつくんですけど・・・などと当時は思ったものでしたが、いま思うとあの口ぐせは、その人が “あんなふうに見えてじつは” 「親に捨てられお寺の住職さんに育てられた」・・・という、レアな生い立ちで苦労をしてきたらしい、と考えると、あれって、境遇によって傷ついたり捻くれたりしない強さや、損なわれることなく保たれた天然の明るさによるものだったのだな、子ども時代からあれを言っていたんだろうな、と思えます。健気に頑張っていたんでしょう・・・。

「口ぐせ」というのはじつは、「インナーチャイルドの声」であることが多いのです。
与えられた環境の中で思い込んだこと、身につけた考え、あるいは、影響を与えた養育者の教え・・・。

その上司の場合は、育ててくれた住職さんがしょっちゅう「上等、上等」って言ってたのかもしれないし、もしかしたら、いろいろと満たされない環境の中、これでいいノダ、感謝しなくちゃ、と思うことにして「上等、上等」と自分に言い聞かせてきたのかもしれない・・・。

あなたの口ぐせは何ですか? 家族や友人、パートナーの口ぐせは?
「もうやってられない」「こんなんじゃダメ」「やるだけムダ」「休めない」「私なんて」・・・、もしそのようなネガティブな口ぐせを持っていることを発見したら、それはインナーチャイルドが言ってるのかもしれない。観察してみてください。

 

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