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赦されて、赦して ~映画『空白』~

*対面セッションを再開します*
7月21日(水)より新型コロナウイルス感染症の流行状況を考慮し、対面セッションを休止してまいりましたが、10月11日(月)より再開します。
現在は感染状況が落ち着いており緊急事態宣言が先月末で解除されたこと、また私自身がワクチン接種(2回)を済ませたことによります。
これまで オンライン・セッションやメール相談にお振替くださっていた方、また、新規でお問い合わせくだり対面再開を待っていてくださっていた方、お待たせしました。
タイミングの合う方は どうぞお申込みください。お待ちしております。
ご予約・お問合せは、初めての方は以下のボタンから、リピーターの方はメールにて どうぞ。

映画『空白』を観に行きました。ほぼ1年ぶりの映画館。
(※ 以下、少し作品の内容に触れますので、これから鑑賞予定の方はご注意ください。)

このお話は、ある中学生の少女がスーパーで万引きしようとしたところを店長(演:松坂桃李さん)に見つかり、逃げるも、追いかけられた末に車に轢かれ、亡くなる、というところから始まります。
少女の両親は離婚していて、少女と暮らしていたのは、漁師である父親の充(演:古田新太さん)ひとり。
充は、娘の無実を証明しようとスーパーの店長を激しく追及し、娘が通っていた学校に押しかけて、いじめがあったのではないか? 調べて報告しろ、クラスメイトに会わせろ、と憤怒まみれの物腰と粗暴な物の言い方で、関係する人たちを困らせ追い詰めていきます。

でも充は、自分の娘に無関心で何もわかっていなかったこと、そんな自分であったので、娘とは何も話せていなかったことに、徐々に気づかされていきます。元妻(演:田畑智子さん)に暴言を吐いたとき、「八つ当たりをしないで、ほんとは自分を許せないくせに」と言われ、図星ゆえ一瞬激昂するも、思い当たって謝るシーンがありましたが、人は、外に向かって怒り散らしているようなとき、ほんとは自分の心の中に、向き合えずにいる傷ついて弱っている心があるんですね。
少しずつ、自分の中に在ったものに目を向け手当てをしていこうとする充の様子は、健気でした。美術部にいた娘にならって絵を描いてみたり(下手くそ)、娘の書棚にあった漫画を読んでみたり(理解できず)。怖すぎるお顔の古田さんですが、さすが、と思いました。

少女に飛び出して来られ、止まれずに ひいてしまったドライバーの女性は、何度も充を訪ね謝罪しますが赦されず、のちに自殺してしまいますが、その女性の通夜に出向いた充が「謝らないからな!」と言ったのに対して、女性の母親(演:片岡礼子さん)は、逆に赦しを乞い、娘のことを語るのですが、その凛とした潔い態度には胸を打たれました。充がおそらく、大きく変わるポイントになっていました。充が己へ向かい、加害者をいつか赦し、自分自身も赦していく、そのきっかけになった出来事として描かれていたと思います。

終盤、充がぼつりと「みんな、どうやって折り合いをつけてるんだろう…」と呟くシーンがあります。
ほんとにねぇ…と思いました。
私たちは、仕事、家族、周りの人、過去の辛い出来事、怒り、悲しみ・・・いろいろなものに「折り合い」をつけて生きていくんですよね。
もう無理だ、もうやってらんない、お終いだ・・・、そんなふうに思ってしまったときはきっと、人に赦されて、人を赦して、救われるんだと思います。

よい映画でした。ラストにほんのりと希望の光が射すのを見ました。

 

 

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