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『スナック キズツキ』のママのように

現在 私は銀座のビジネスセンター内に部屋を借りてセッションをやらせてもらっていますが、2年前までは友人が所有するマンションを借りて、時間を気にせずお客様をお迎えしていました。

通常、お飲み物はお茶をお出しするだけでしたが、たまーに、お客様の様子を見て甘い飲み物をお出ししたり、頂き物のお菓子を添えたりすることがありました。今のように規則も無いので自由にやっていたのです。

ある寒い日の夜、お疲れのご様子のお客様に、ホットチョコをお勧めしてみると、今日は昼食を摂り損ねてしまって…と嬉しそうにされたのでお出ししたのですが、そのお客様、「あぁ美味しい、ほっとします…」とおっしゃったかと思ったら、静かに涙を流されて、少ししてから「あれ?私どうして泣いてるんでしょう…」とご自身の涙に気づかれた…。そんなことがありました。

いまテレ東で『スナック キズツキ』というドラマを、深夜にやっています。
「傷ついた人だけがたどり着ける」「アルコールを置いていない」スナックなのですが、ママのトウコ(演:原田知世さん)は、やって来るお客さんに、美味しい飲み物や料理を丁寧に作って出し、ある時はお客様と歌ったり、楽器を演奏したり、踊ったりします。
お客さんはそれぞれ、いつもこの道は通っていたはずなのに気付かなかった…と言ってお店に入って来るのですが、ママの さり気なく優しいもてなしや、初めは無茶ぶりのようでも最終的には誰もがノッて発散することになる歌や演奏や踊りで、みんな「来てよかった」と笑顔を見せて、帰って行きます。不思議な、素敵なスナック。

最新話では、毎日仕事に家事にと一生懸命な、でも理解されず感謝されない、お疲れの主婦(演:堀内敬子さん)がふらっとやってきたのですが、ママが丁寧に淹れたコーヒーを飲み、試作品だけどどうぞと勧められたシュークリームを食べたところで、ママがティッシュの箱を出してくれたことで、自分が泣いていることに気づく…というシーンがありました。それで冒頭の話を思い出したのです。

人は、ほっとして甘いものを食べると緩んで、我慢して溜め込んでいた気持ちが、ふぁーーっと無自覚に涙になって外へ出ることがありますね。とってもいいことですね。

シュークリームを食べ終わったその主婦のお客さんは、ママにタップダンスの靴を履かされて(笑)、初めはおずおずと、次第にノリノリになって楽しそうに、ママと並んで初めてのタップダンスを踊って、日常の “地団太踏みたい気持ち” をタップで表現して発散して、「ナイス地団太だったよ☆」とママに見送られて店を出ました。

ビジネスセンターの一室を借りている私は、甘いお菓子は出せないしタップシューズの用意もできませんが、気持ちは『スナック キズツキ』のママのように、ほっとして元気になって帰ってもらいたいという思いで、準備してお待ちしています。

今年一年のお話をしに、どうぞいらっしゃってください。

 

 

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