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今の新人も昔の新人も…

転職し、長崎のアパートを引き払って実家へ戻って来た息子、入社したホテルで研修する日々です。
本来なら1~2か月は、座学を含めじっくりと時間を取った初期研修を受けてから、接客する現場に立つことになっているそうなのですが、とにかく今、ものすごく忙しく、人手が足りず、新人とはいえ経験者である息子は、”通常はこんなことはさせないんだけど、申し訳ない” と謝られながら、「これは出来るかな? 出来るよね? お願いしちゃおうかな…」というかんじで、少々無理をさせられているようです。
何度も何度も、先輩や上司から「ごめんね」「ほんとなら裏でゆっくり時間をかけて受けてもらう研修があって、時間をかけて覚えてもらうんだけど…」と言われつつ、やむをえずいきなりの本番になるそうで、ちょっと戸惑っているとのことでした。

そうか、仕方がないんだね…と話を聴きつつ、このままなんとなく、大きなミスをせずに “やれてしまったら” 、もう二度と、噂で聞いていた「理念とか哲学とか長い歴史の話に始まる、厳しくて細かいけれど、とても大事なことを教われる機会」というのを得ることは出来なくなるし、新入社員として丁寧に扱われる体験もなく、”繁忙期のアルバイト” みたいなスタートになってしまうとしたら、ちょっと残念ね・・・、という話をしました。
「教えていないんだから知らなくて当然だよな」ということを認識してもらうのは大事だし、せっかくの伝統が崩れてしまうのを止む無しとしてはいけないんだ、と思ってもらった方が会社のためになるのでは?、などという感想も述べさせてもらいました。
忙しいから仕方ない、とか、経験者なんだからなんとかなるでしょう、などと雑なことをしてしまうと、お客様から見ても、「なんかサービスや社員さんの質が下がりました…?」ということになりかねないのでは?と思って・・・。

そんな心細い、戸惑いの多い勤務をスタートさせて1週間目の頃、初めての夜勤を共にこなした先輩2人が、夜勤が明けて帰ろうとする息子に声を掛け、朝から飲みに行った、ということがありました。
厳しそうで近寄りがたい人たちだな…と感じていたその先輩たちが、忙しい中、じつは自分をよく見ていてくれ、「これは出来る?」「これこれをよーく確認するんだよ」「じゃあ行ってきてみて」「失敗してもいい。もし何かやっちゃったとしても、俺が全部の責任取るから大丈夫。安心して」「常連の〇〇さん(←著名人)は、こんなことを頼んで来るんだよ。呼ばれたら楽しみにね!」・・・そんなふうに励ましながら和ませながら、指導してくれたのだとか・・・。

その、初夜勤が明けての 朝からの飲み会に、息子はとても感激し感謝していました。会社の内情を聞かせてもらって安心できたり、年齢は変わらないながらも重要なポストで活躍している先輩たちの仕事に向かう姿勢に感心したり、何より自分をちゃんと見ていてくれたこと、惜しみなくスキルを伝授しようとしてくれていることを知って嬉しかった、と。

友人(50代)も、この数年、コロナの流行もあって、新入社員たちとのコミュニケーションがうまく図れていないと感じていたそうなのですが、最近、ひとりの他部署の若い社員(入社2年目)から、退職について相談されたとのこと。
食事に連れて行き話を聴いたら、「なるほど、そんなこと(じつは解決は難しくないこと)で悩んで、それを誰にも言えないと思って、そして自分を無能に思い孤独に感じて辛くなっていたのか…」という話だったとのこと。
よく聴き取ってやり、様々な面での解決方法を提案し、とにかく気軽に相談してほしいということ、それは申し訳ないなんて思うことではないこと、相談されたら嬉しいし何とかしたいと思ってこちらも力が湧く、年寄り孝行だと思っていい、と言ってやったら、ほどなくして、「退職するのはやめます。頑張りたいと思います」と連絡が来て、以来元気に働いているのだそう。
そしてその後、その友人は、その若い子と同期の子、数人に頼まれて再び食事会の場を持ったそうです。
その時も若い社員たちの困りごとや悩みごとを聴いたり、会社の良さや自分の苦労話などを聞いてもらったりしたことで、思いのほか皆を元気づけることになったと言っていました。

今どきの若い人は、勤務時間外の会食なんか嫌がる、と聞いていました。
それはそうだろうな、と “昭和っぽい会社の飲み会” を思い浮かべるとそう思いますが、息子の話といい、友人の話といい、今の若い人だって、先輩や年上の人と(初めは気が進まないとしても…)話をしてみたら随分と救われて元気になったり、後に「あの時あの言葉があったから、いま自分はここでこうしている…」ということもあるんじゃないかな、とも思います。

今の若いサラリーマンは、”大人しい” “涼しい” かもしれないし、雑に大雑把にしか考えられない人やとにかく忙しくて自分が大変なんだという人にとってみたら、若い社員を可愛がるとか育てるとかいうのは、なかなか難しいところはあるかもしれません。
でも、新入社員が、特に何も言わないでいて “いきなり、簡単に、辞めると言う” という話を聞くと、幸せなことではないなぁ…と思います。

少し前に書いた話のように、何度辞めてやり直してもいい、必ずしも、粘り強く頑張ったり一つの会社にしがみついたりすることがいいとも言えないです。
でも、今も昔も変わらず「不慣れで不安で緊張してて苦しい新人」は居て、温かい適切な関わり方がありさえすれば、立派に一人前になって活躍してくれるようになる、ということはあるはず。
余裕のある人は、もうひと声、親切さを発揮して面倒みてやったらいいんじゃないかな…、きっとお互いにとって、みんなにとって、いいことになるのだから、という気がしました。息子の話と友人の話を聞いて。

 

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