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「そんなん、一回も言ってくれへんかったやん」

朝ドラ『舞いあがれ!』。
雨の夜、公園で倒れていたお兄ちゃん、悠人。
助けられ、家へ帰るも「インサイダー情報に飛びついて」しまい、投資家としてもう終わりなんだと言う。
独りで努力して公立の学校から東大へ入った「秀才」、そしてテレビや雑誌で取り上げられ有名な「天才トレーダー」の初めての挫折です。

でもお兄ちゃん、亡くなったお父さんが、日記「歩み」ノートに自分のことを書いていたものを、舞に促されて、読みます。

「『リーマンショックを予測した若き投資家』大したもんや」「悠人には才能がある」「それを努力して伸ばしてきたんやなぁ。立派やと思う」「稼いだお金で何をしたいのか、どういう生き方をしたいのか、悠人の夢が僕には分かれへん」「けどいつか分かりたい」

それを「そんなん、一回も言ってくれへんかったやん」と言って泣く悠人を見て、思い出しました。
子どもの頃、両親は、小さな工場の経営に奮闘し、身体の弱かった妹の舞ちゃん中心の暮らしをしていましたから、成績優秀で何でも一人で出来る、手のかからない しっかり者のお兄ちゃん・悠人くんは、身体の弱い妹を想い 両親の大変さを想って、自分のことを言いそびれていたっけなぁ…と。
妹の舞ちゃんは「自分はお兄ちゃんに助けてって言ったことあるけど、お兄ちゃんに言われたことない。いつも頼ってばっかで…」と気づいたけれど、確かに悠人は、家族に頼ることなく、いつも一人で頑張ってたなぁ…と。

トレーダーとして成功してからは、家族に反抗的で高飛車な物言いをするし、実家のお隣のお好み焼き屋まで来ても実家へは帰らず、帰って来てもお父ちゃんとケンカしてばかり…ではあったけれど、実は実家の工場の様子を気に掛け案じていたし、投資家として助けたし、妹の舞ちゃんからの電話にだけは出たし・・・、お兄ちゃん、いつも家族を思っていました。

お兄ちゃん、子どもの頃からずっと、大人になって成功してからもずっと、「僕を見つけて」と思っていたのだろうなぁ…、そう思いました。

大切な誰かの思いを、その人が亡くなってから知る、というのは世の常ですが、でもそれはそれで、とても大切な経験にすることができる、と思います。
悠人は「失くなったものは二度と取り戻せない」と後悔して泣いたけれど、お母ちゃんの言う「取り戻せるものもある」「いっぺん失敗したくらいで何や」「しっかり罪 償って、仕事も信用も取り戻したらいい」は、本当です。

お仏壇の前で「おやじ、ごめんな」と号泣した悠人の、解け出した こころ に、朝から涙しました。
本当に頑張って来た人の、大きな挫折。
その後だね、これからだね、と思いました。

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