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それぞれの涙のツボ

久しぶりに友人と、オンライン飲みをしていたとき、いまテレビ東京で深夜に放送しているクドカンのドラマ『季節のない街』の話になりました。
このドラマは、山本周五郎の小説を映像化したもので、かつて黒澤明も映画にしている作品ですが、クドカンさんは「今回は自信作」で、一番やりたかった作品で、これを世に出したら自分の第二章が始まるような気がしている、とおっしゃっていました。
キャストも素晴らしくて、とても楽しみにしていたのですが・・・。

友人は、第1話の「街へいく電車」で、しゃくり上げて泣いた、というのです。
え?どこのシーンで?と尋ねたら、「六ちゃん(”見えない電車”の車掌さん。演:濱田岳)を、仮設住宅の街のみんなが庇って、警察から守ろうとした場面」だと。そして、「わたし、兄が障害者じゃない? みんなに迷惑かけてたし、自分もいろんな屈辱味わってきたし苦労させられたから、ああいうのに弱いんだ」と。

なるほどな、と思いました。

私は、第1話より 第2話の「親おもい」のタツヤ(演:仲野太賀)に ぐっときたなぁ・・・と言いました。
タツヤは、長らく家を出て行って音信不通だった “ろくでもない” 兄と違って「親想い」のはずですが、母親は兄を溺愛していて甘く、お金の無心に応えてしまう。その兄は、タツヤの預金通帳と印鑑を盗って出て行った後に刺されて瀕死の怪我を負いますが、運ばれた病院でその自分の通帳を見つけたタツヤに、母親は「あんたは優しくない」「兄さんが困ってるのに助けもしない」「あんたは家族より貯金が大事なんでしょ」と言う・・・。その貯金はタツヤが、仮設住宅に住み苦労して来た母親を “高級マンション” に住まわせてやりたいといってこっそり貯めてきたお金なんだけど、母親はそんなこととは知らないしタツヤの思いなど理解しない・・・、兄は「あんたと違って親想いで優しかった」と言う・・・。

私は『ごんぎつね』や『泣いた赤おに』が悲しすぎて泣く子どもでしたが、この第2話も同じでした。「自分の “想う気持ち” “優しさ” は、解ってもらえないんだなぁ・・・」が「涙のツボ」なんですね、さすがに今は泣くことはありませんが・・・。

人それぞれに、「涙のツボ」がありますね。
その「ツボ」は、小さかった自分の心の痛みや悲しみの溜まった場所で、そこに触れる “何か” によって揺らされて、ほろほろっーと、溢れて来るのだと思います。

あなたの「涙のツボ」は、どんなものによって震動するでしょうか・・・

 

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