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「あの子の望みはただ、生きる場所を得ること」に泣く

私がテレビドラマ好きなのをよくご存じのお客様は、セッション開始早々「郷家さん、今期は『〇〇〇』観てますか?」とおっしゃることがあります。

ドラマの話から入っていくんですね、本題に。

昨日はNHKの朝ドラ『なつぞら』の話に・・・。

主人公の なつ は戦争で両親を失い、亡き父の戦友に、東京から遠く離れた北海道・十勝に連れて来られた子です。

これまでの話では、”そうするしかなかった” からやってきた他人の家…酪農を営む柴田家で、礼儀正しく、気を遣い、健気に働いてみせるなつの姿が描かれています。

一昨日は、東京にいるはずなのに便りをくれない兄に会いたくなって家出をした なつ を、柴田家皆で探しに出ましたが、
「大人の都合であっちへやられこっちへやられ、なっちゃんは怒ってるのでしょうね」と言う母・富士子(松嶋菜々子さん)に、
その父親であるお爺さん(草刈正雄さん。ぶっきらぼうで頑固者な様子から、ネットでは、ハイジの「おんじ」と言われてますね、好演です)は、「あの子は怒りなんてのは、とっくに通り越してる。怒る前に諦めてる。諦めるしかなかった。それしか生きる術がなかったんだ、あの年で…」と言います。

「怒れる者はまだ幸せだ」
「自分の幸せを守るために人は怒るが、今のあの子にはそれもない」
「争いを嫌って、あの子は怒ることができなくなった」
「あの子の望みはただ、生きる場所を得ることじゃ」
とも。

さすが、おんじです。おんじの洞察力と懐の深さ。

結局、河原で行き暮れていたなつは家族によって見つけ出されますが、迎えに来てくれた柴田家のみんなを前に、なつ は「どうして私には家族が居ないの?」と泣きます。
「もっと怒れ」と言うお爺さんに泣きながら駆け寄ったなつでしたが、お爺さんに、これからはわしらが居る、一緒に居る、と抱擁されながら、激しく慟哭するのでした。

なつが、初めて自分の境遇への強い怒りと悲しみを表現するこのシーンにはこちらまで泣かされましたが、「居場所」を得たなつのこれからを想い、希望を感じて嬉しかった・・・(で、私はまた泣いたという・・・💦  このドラマ、うっかり朝から観てしまうと大変だ😅)

これは戦争を体験し家を失った子どもの話ですが、今を生きる子どもも同じで「自分はここに居ていいんだ」と “身の安全” を信じておらず、安心していなければ、怒れません。

昨日のお客様も私も、「子どもらしく怒ったことがない」「(実父母と暮らす家なのに)ここに居ていいんだと安心していなかった」「そして大人になっても怒りと向き合うのが苦手だった」という点が一緒なのですが、
この『なつぞら』の なつ が、自分が育っていく場所と守り育んでくれるかぞくを得たのを見て、大いに感情を刺激され、また、大いに癒されたのでした179.png

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