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「その人といると、自分をどんどん好きになる」

もう30年以上前の話になりますが、私が新卒で就職した会社に、Yさんという名物タイピストの女性がいました(当時40代)。
「タイピスト」…今は聞かなくなった職業ですが、当時、私が在籍していた国際開発を担う部署では、とても重要な仕事でした。

医薬品の導出入や共同開発の話について、部署のメンバーが英文レターを書くと(当時は手書きです!)、それは一律、そのYさんによって添削され、立派な手紙になり、海外の取引先へ「テレックス」で送られていったんですよね。

テレックスなんて、皆さん知らないでしょう。
電子メールの前はファクシミリ、ファクシミリの前の時代ですね、テレックスは。懐かしいな…。

そのYさん、海外留学の経験はないというのに、英語の読み書き会話に不自由がなく(というか、留学してMBA取ってる男性たちに、英語の指導してましたっけ。とにかく常に、医学・薬学・法律…といろんなことを猛烈に勉強していて、相当な知識を持っていました)、仕事もよくできる人でしたが趣味や遊びも旺盛な好奇心でいろんなことを精力的にやっていて、この人はいったい何者なんだろう…と思って見ていました。自分より20歳以上年上のYさんの若々しさったら。

私が退職したある日、Yさんからハガキが届いたんですね。

「結婚しました!今度会いましょう!彼を紹介したいわ!」

Yさんは初婚、お相手は随分前に奥様が亡くなっていてお子さんは既に独立…ということでした。
40代のYさんと50代のお相手の熟年結婚だったのですが、お会いしたらすごくお似合い、ピッタリなお二人でした。中年だけど、美男美女で。

どうしてこの年になって結婚する気になったのか…
私が聞く前に(笑)Yさんが話してくれたのは、こんなことでした。

「私ね、この人といると、なぜか自分が大切な人間なんだって思えてくるのよね」
「この人のおかげで、ガチャガチャ落ち着かない自分にも いいとこあるのかも、私、この人のおかげで自分のことをどんどん好きになってくんだわ、って思うのよね~♪」
「これって素敵なことでしょう? 相手を通して自分への愛が深まるなんてことがあるのね~! 知らなかったわよぉ~」

…そのときは、おぉおぉ浮かれてるなーと、ただ微笑ましいばかりでしたが、

相手を通して自分への愛を深める…

今思えば、浮かれた調子でYさんすごいことを言っていたんだなぁと思います。

この度、結婚することになりました、と報告してくださったお客様が、お相手と歩いて行くことを決めた理由として同様のことをおっしゃって、
なんて素敵なことだろう、と思ったときに改めて思い出したYさんの言葉でした173.png

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