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その出来事の意味

数日前、変わった体験をしました。

晩御飯の支度を済ませて娘の帰宅を待っていたら、娘から電話が掛かってきて、
「お母さん、いま、お手すき?」と。

ちょっと声が上ずっていたので、ん?事件?と思いつつ、「空いてるけど、どしたの?」と答えると、

「いま〇〇(自宅から5分ほどのところ)らへんなんだけど、知らないお姉さんが、自転車にスカートの裾を巻き込んじゃってて、どうにもならなくて、もう切っちゃうしかないんだけど・・・」

「できたら、裁ちバサミ持って、来てくれない?」

いつもは通らない道を選んで、遠回りして家へ向かっていたら、前方に、履いているスカートを自転車の後輪から外そうと悪戦苦闘しているお姉さんがいたのだそうで、声をかけて手を貸して、ひとしきり二人で頑張っていたのだそう。

なんと私は、電話を受けた時、食事をするテーブルに広げていた洋裁の道具を片づけていたところで、
手に裁ちバサミを持っていた んですよね(我ながら驚いた)。

急いで駆けつけると、お姉さんのスカートは、ほんと、どうしてこんなふうに絡みついちゃったんだろう・・・という、どうしようもない状態で、
お姉さんは物凄く恐縮しつつ、「適当にザックリ切っていただけると助かります」とおっしゃるので、
ほんとに綺麗な高価そうなスカートでしたが、自慢の切れ味(!)の裁ちバサミ で、ザクザク切らせてもらいました。

明日にでもお礼に伺いたいので連絡先を・・・とおっしゃるのをお断りして、「お気をつけて」と娘と二人、お姉さんを見送って帰ってきたのでした。

帰宅してから娘と、
「ありがとう、助かった。でもなんか不思議体験だったね」
「うむ。長いこと生きてるけど、人様の履いてるスカートをハサミで切ったのは初めてだよ」
「私、いつも通らない道へ、引き寄せられるみたいに向かったんだよね。あの感じ・・・何か意味があるから気づけと言われてる感覚がする」
「母さんも、電話受けた時ハサミ手に持ってたんだよ?」
「えええええっ!!」
「ふふふ。なんだったのかね・・・」
などと話しました。

その後、娘は娘で、私は私で、
「はっ」となり「なるほど、そういうことか・・・(だからあんな出来事を体験したのか)」と合点の行くことが、
それぞれ あったのでした。

なんだかわからないまま “連れていかれちゃう” ことって、誰にでもあるものですが、
その意味に気づけると、ただの「ナゾ体験」が「ささやかな宝」になりますね。

・・・にしても。
自転車のお姉さんを見送ったあと、街灯の下に立つ私の手には、キラリと光る大きな裁ちバサミ! 考えたら怖い絵ヅラです。
通行人の方たちの視線に気づいて、慌ててしまいました(^^;)

 

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