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喜美ちゃんのバックドロップ

NHK朝ドラ『スカーレット』の主人公・喜美ちゃん、すごくいいなぁと思って見ています。
この作品は、戦後まもなく、家族と滋賀・信楽へやってきた女の子・喜美子が、のちに女性陶芸家になっていくお話ですが、第2週に、こんなエピソードが描かれました。

貧しくて借金もある喜美子の家ですが、借金取りにお金を立て替えて返してくれた人に、父親はその額を返そうとするも20円足りない。自分はあなたに助けられた恩があるのだから20円は結構ですというその人に、父親はそうはいかない、と言って家じゅうをひっくり返してお金を探します。
9歳の喜美子は、どうして20円もらっておかないのか、20円あったら卵も買えるのに・・・と言いますが、父親に、やかましい!と言って頬を叩かれ、そうしたくてもできないんだ、そうしてたまるかという意地なんだ、男の意地だ、男には女にはない意地と誇りがあるんだ、と言われます。

9歳の喜美ちゃんのすごいのは、叩かれて泣くでもなく、もう知らんといってふて寝して忘れるでもなく、一晩中考えるところです、「意地」のことを。
そして翌朝、父親に「わかったことがある!」と言いに行きます。
自分はこのあいだ、妹を連れて紙芝居屋さんに行った、みんなが食べてる ぽんせんべい なる新しいお菓子を食べたかったのにお金がなくて食べられなかった、せめて妹だけでも・・・と 紙芝居屋のおっちゃんに頼んだがダメだった。
おっちゃんに、紙芝居見るだけならお金払わなくてもいいよと言われたのに、見ずに帰ってきた、ほんとはすごく見たかったのになぜかわからないけど帰ってきた・・・。
そのときはどうしてかわからなかったけど、昨夜のお父ちゃんの話でわかった、あれは「意地や誇り」だ。
そう語るんですね。

そして続けて、
「だから言いたい」「女にもあるでぇ~!」「女にも、意地と誇りはあるんじゃ~~~!」
大きな声でそう叫んでニッコリ笑ったんです。

凄いな、偉いな。
9歳で、よくわからなかった「意地」ってもののことを、ちゃんと考えて、自分の経験に照らして、理解したんですから。
喜美ちゃんが賢くて真っ直ぐであんまり可愛いから、朝からちょっと泣きました。

 

先週は、中学を出て大阪へ働きに出された15歳の喜美ちゃん(戸田恵梨香さん登場)。
仕事は下宿屋の女中。大ベテランの先輩女中の “大久保さん” に厳しく鍛えられて仕事を覚えていくも、理不尽なほどの大量の繕い物を押し付けられます。
喜美ちゃんは、部屋へ戻ると枕を掴んで「大久保!」と言って投げ、脇で締め上げ「どやっ!!」。
また、お給料を貰ってみると、まさかの1,000円(当時の大卒の月給は6,000円だったとナレーションがありました)でしたが、その理由を雇い主から、大久保さんから指導を受けている限りは一人前ではなく見習いだから、と告げられます。
喜美ちゃんは部屋へ戻ると再び、「大久保!」「大久保!」と言いながら枕を投げつけまくり、しまいには、枕をかついでバックドロップを繰り出しました。さらにブリッジをきかせてホールドを決め「よっしゃあーー!!」と声を張り上げてました(戸田さん、ブリッジお上手! 吹き出しました笑)。

 

この「枕を敵に見立てて・・・」というのは、ストレスを溜めがちで・・・という人には、本気でお勧めします。
よくカウンセリングの中でも、怒りの取り扱い、怒りの発散の話をするのですが、皆さん、モヤモヤや憤りを、外へ出すのが上手ではありません。どうしたらよいか、わからない、と。

「安全に解放する」「リリースしてスッキリする」というのは本当に大切なのです。
枕を担ぎ上げてバックドロップ・・・は難しくても、生き物でない、壊れない何かに、「おりゃああああ!!!」とパンチできたら、かなり違うと思います。
パンチしたいくらいだ、と思うのではダメです、ちょっとやるだけでもダメです、存分にパンチするんです。
どうぞ覚えておいて、やってみてください。相当効果がありますから。

 

喜美ちゃんの明るさ、気の強さ、健やかさに、毎日元気をもらっています。

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