昔勤めた会社に、とんでもない美人がいました。
顔の作りも、お肌も、髪も、それはもうとにかく美しくて、見慣れているはずの私たち同僚でさえ、ときどき、ぼーっと見入って溜め息ついてしまうくらいでした。
クセのない、嫌いだという人のいないタイプの正統派の美人で、しかも気だての良い女性でしたから、多くの人が「自分もそんな顔に生まれてきたかった」「そしたら人生違ってた」「あなたになってみたい!」などと言っていました。
でも、当の本人は、美人であることなどどうでもよかったようで、「私はとにかく、丈夫な身体が欲しい」と言っていました。
彼女は病弱というか、ちょっと難しい病気を持っていて、身体のメンテナンスには常に苦労していたのです。
でもある頃から、易しめの山登りを趣味にし始めて、そのうち、なかなか本格的に登山を楽しむ人になっていきました。
毎年、送ってきてくれる年賀状には登った山の写真が載るようになって、頑張って健康な身体を手に入れたんだなぁと感心したものです。
彼女は、みんなが欲しいと思う「美しい容姿」を持っていたのにそこはどうでもよくて、ただ、健康な身体が欲しかったんですね。
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何年か前にカウンセリングに通ってくださっていたお客様・・・、彼女は、ものすごいお金持ちの家に生まれたお嬢さんでした。
親御さんの資産は、〇〇県の長者番付に載るレベル、とのことでした。
お金の心配をせずに、いろんなことをしたり欲しい物を買ったりできる人生ってどんなものだろう・・・、羨ましいなぁとも思ったのですが、ご本人は、「自分はお金とお金で買えるものしか持っていない」「私はお金じゃなくて、ほんとの友だちが欲しい」「誰かの優しさとか誰かとの温かい付き合いとか、そういうものが欲しい」と言いました。
いつも孤独だった、誰かから愛されたという実感がこれまで皆無、と言っていました。
お金しかない 暗くて寂しい家庭で育った自分の心はいつも冷えていて、温め方がわからない、とも。
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私たちは「欲しいものを手に入れる喜び」を体験するために生まれて来たのだと思うのですが、
手に入れる喜びを体験をする・・・ためにはまず、その、欲しいものが「無い」という体験をしなくてはなりません。あったら欲しいと思いませんからね。
人は、自分の欲しいものは今ここには無い、という状態、そういう環境を自分に用意するのだと思います、生まれる前に。
で、そこを狙って生まれて来るんでしょうね、けったいな話のようですが・・・。
地球生活のあれやこれやって、高次の自分が仕組んだゲームなのでしょう。
あなたの欲しいものは、なんですか・・・?
それは手に入りそうですか? なかなか難しいですか?
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