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母の遺影に見張られていた人

BS朝日の『ウチ、断捨離しました!』という番組をときどき見ます。
18日に放送された「20の資格を持つ女 母の呪縛を脱ぎ捨てろ!」、興味深かったです。

今回 やましたひでこさんに断捨離の手伝いを依頼した女性(58歳)のお宅は、一見きれいに片付いていました。
でも、やましたさん曰く「きれいに『便秘』してる」家。
たしかに大量の物が “美しく” “ぎっちぎちに” 詰め込まれていました。

タイトルにある通り依頼者の女性は、20種類以上の様々な資格を持っている方でした。
それについては「自分に自信がないから・・・」「認められたいから」と言っていましたが、作業の中で語られ、明らかになっていったのは、《亡き母親の呪縛》に葛藤している、ということでした。

やましたさんは依頼者の女性に、自分に自信がないというあなたが収納にエネルギーを注いだのはなぜか、「体裁」を整えようとしたのだと思うが、それは何のための体裁なのか、誰に対する体裁なのか、と問いました。

その女性はそう問われ、それは母親に対してなのだ、と気づきます。

 

しっかり者の長女でお母さん子だった、という女性ですが、じつは複雑な感情を抱えていました。
様々なことが語られていきます。
お母さんは、手先が器用でいろいろな物を手づくりしてくれる一方、物が捨てらない人だったそうですが、ガラクタばかりの家で育ったことがコンプレックスだったこと、
大学時代、病気をしたお母さんの希望で、部長を務めていた部活動を辞めるという犠牲を払ったこと、
お母さんの病気療養中に実家を売却することになり、急きょ自分の判断で家にあった物の処分をしたら、それを後々責められたこと、
お母さんに何度も、「自分にはこんな才能があり、外に出たかったのに、子育てや介護のために家にいた。人生を棒に振った」と言われていたこと・・・

それらのことは、心の奥深くに “ぎっちぎちに” しまい込まれ、「体裁」は整えて来たはずだった。なのに「それを覆された気持ち」だと、女性は言いました。
「母の呪縛」の存在に気づかされ、キツそうでした。
やましたさんの語り掛けやアドバイスに、隠してあった気持ちと向き合っては涙する・・・というシーンも、何度か出てきました。

 

作業を進めるのに伴って、重荷になっていた「母に認められたい」「理想の娘でありたい」という思いや罪悪感からどんどん解放されていくのが分かりました。
やましたさんが言った「便秘」は、見る見る解消されていったようでした。
頑張って取得した数々の資格の認定証を次々とビリビリ破いて捨てたときは、”認められたかった過去の私” を軽やかに笑い飛ばして癒してあげていたように見えました。本当に晴れやかな笑顔でした。

 

番組の終盤、それまでリビングルームの中心、住まいの真ん中に置かれていた お母様の遺影 が、趣味のお部屋に移ったことが紹介されました。

今までは、母の遺影が家の中心でいつも自分を見張っているようだった、と語る女性に やましたさんが、
「(あなたが)勝手に挑んでた、ということ」
「お母様はそういうご性格だっただけで、それに挑んでリベンジしている心境だったから、勝手に、見られてる、見張られてるって感じていたんでしょう」
「その “挑む気持ち” を断捨離しながら手放したということです」
と伝えてあげていたのは、さすがでした。

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