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あなたの仕事  ~『私の家政夫ナギサさん』

今期のTBSのドラマ『私の家政夫ナギサさん』。
主人公のメイ(演:多部未華子さん)は、製薬会社のMRとしてバリバリ働くキャリアウーマン。仕事はよくできるのに家事が苦手で部屋がとっちらかっている28歳。
ある晩、メイが帰宅すると、エプロンを付けた見知らぬおじさんが・・・!
家事代行サービス会社に勤める妹が、誕生日プレゼントとして家政婦(夫)お試しサービスで “おじさん(演:大森南朋さん)” を勝手につかわしたのでした。
「お試し」だけで終了のはずが、なんだかんだで結局、定期契約をして来てもらうことになります・・・。

「あなたは “やればできる子”」と母親から言われ続けて来た言葉は、娘のメイにとって呪いのようになっていて、メイは母親の期待に応えるべく頑張ってきたわけですが、じつはこの母親(演:草刈民代さん)は、結婚して専業主婦でやってきたし、家事は苦手。
自分ができないことを娘に望んで厳しく育てて来た・・・という母親なのでした。
設定が56歳となっていましたが、これは私と同世代、思わず「わかるなぁ・・・。こういう人は周りにたくさんいた・・・」と思いました。そう、私たちの世代、「寿退社→専業主婦」はとても多かった。子どもが生まれたのに働いているだなんて、「ふぅん、お子さん “鍵っ子” なんだ、可哀相・・・」みたいな。
でも、子育ての途中パートタイマーとして働くことはあっても専業主婦としてきほん “家に居るお母さん” だった人は、子どもが大きくなってくると、持て余したし、私って何?とアイデンティティーがグラつくこともあったし、自分の人生の彩り、幸せが、子どもの人生をサポートすること(そしてそこに自分の人生の幸・不幸を委ねてしまうこと)になったりしたわけです。
これ、すごく解るわけですが、子どもからしたら、どれだけの重圧か、どれだけの呪縛か・・・ということも解ります。

メイの母親は家事が苦手だそうで、一昨日の第3話でメイが過労で倒れたとき、母親は「お母さんらしくない自分」、「お母さんらしいことができない自分」を受け容れられなくて、メイを家政夫のナギサさんに託して帰ろうとするのですが、
ナギサさんは母親に料理の手ほどきをしてサポートしたり、何もできなくてもそばにいてあげることや、娘のできるところだけでなく、できないところも見てあげることをしてあげてください、と大事なことを伝えます。
“何だってやればできるはず” ということを娘に要求してきた母と、”私はやればできる子なんだ” と自分に言い聞かせて来た娘の関係が、家政夫ナギサさんとの出会いによって、少し変化してきたようです。

料理の苦手な母親が、やっとこさ作ってベッドで休むメイに出した雑炊を、メイが「なんか味がしないけど懐かしい味」と言いながら笑顔で口にするシーン・・・、ほっこりしました。「ずっとそばにいるからね」とメイを抱擁した母親は、”できない自分” を抱擁しているようでもありました。

今は、いつの時代より、母と娘の生きる世の中が違っています。我々世代のお母さんは、そのことを心に留めたいです。
今を生きる女性は本当に忙しい。メイは独身OLですが、結婚したら・・・子どもが出来たら・・・どれほど忙しいでしょう。

このドラマを見ているたくさんの女性が「私もナギサさんみたいな家政夫が欲しい」と言っているのだとか・・・。わかる!
ナギサさんみたいな家政夫に出会うのは難しいかもしれないし、家事代行なんてスポット利用すらできないよ、と言われるかもしれません。
でも、そうであっても忙しい若い女性たちには、あれもこれも全部頑張ろうとせず、他の人にやってもらえることはどんどん頼んで、困ったら「困った。助けて」と言って助けてもらい、ときにはバッサリ切り捨てて諦めることもしながら、とにかく自分にしかできない仕事、自分にとっての譲れない仕事だけは納得のいくようにやって、この大変な世の中で、どんどん幸せになっていってほしいなぁと思います。

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