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映画『罪の声』

35年前、日本中を震撼させた グリコ・森永事件 をモチーフにした作品。
題材に惹かれ、脚本が「逃げ恥」「アンナチュラル」「MIU404」などの野木亜紀子さん、というところに惹かれ、観に行きました。

物語は、京都でテーラーを営みながら家族3人で幸せに暮らしていた男・曽根(星野源さん)が、ある日、父の遺品の中に古いカセットテープを見つけるところから始まります。
再生してみるとそこに収められていたのは、あの日本中を震撼させた未解決事件で犯人グループが身代金の受け渡しに使用した脅迫テープの声でした。

俺の声だ・・・。

曽根は、訳も分からず脅迫文の言葉を読まされその声が犯罪に使用されてしまった子どもは自分の他に2人いる、ということを事件の真実を追う新聞記者(小栗旬さん)によって知らされます。
その2人は今どうしているのか・・・。

モチーフになった事件「グリコ・森永事件」のあったとき、私は既に成人していましたが、この事件は連日報道され、”子どもの声” の脅迫テープが繰り返しテレビやラジオで流されていて、それを聞く度に、この声の主の子は 犯人の大人とどんな関係なんだろう、どんな状況でこの脅迫文を読まされたんだろう、そして今はどうしているんだろうか・・・と思ったものでした。

映画に描かれていたのは、そのことについてでした。犯罪に自分の声を使われた子どもたちの、その後。
映画はフィクションですが、いたたまれない気持ちになりました。

3人の子どものうちの1人は星野源さんが演じていたわけですが、もう1人を演じた宇野祥平さん、すごかった。圧巻の演技でした。
10キロ以上減量して作品に臨まれたんだそうですが、すぐには宇野さんと分かりませんでした。
知らぬ間に犯罪に加担させられていたその少年・聡一郎は、事件の後これまで、どんなふうに生きていたのか、どんな苦難があってどんなところへ辿り着いたのか・・・、それがその佇まいと告白で表現されるのですが、息を詰めて見入ってしまいました。

犯罪の周辺。犯罪の陰。奥。
私はいつも、何か事件が起きるとそれが気になります。
犠牲者には報道されない犠牲者もいることを想います。
力のない弱い人たち。子どもたち。

聡一郎のこれからに優しい光が射しますように、と思いました。

 

 

 

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