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親も、間違える

親への強いネガティブな感情が押し寄せてきてしまって苦しい・・・という人に私は、一度ぜんぶ親のせいにしてみましょうか、と言うことがあります。
これはもちろん、憎み続けるためではなくて、自分の心についている傷、その傷のかたちや性質をちゃんと知ることが目的です。

諸々の苦悩の根本原因が、両親からされたこと(またはしてもらえなかったこと)のせいだと気づいたとき、それに狼狽え、認めることに心地悪さや罪悪感を抱き、結局向き合うことが出来ずに “その辺りのこと一切” に蓋をして立ち去ってしまう人は少なくありません。
けれど、気づいてしまったのにとぼけていようと思っても、その手はいつまでも使えないというか、いずれ大きな問題として、自分の前にバンと現れて、話がより手強いものになっているものです。
先送っただけだった・・・、先送って寝かせておいたものが膨れてしまった・・・、ということです。

だから、気づいてしまったのなら、自分に嘘をついたり誤魔化したり・・・はやめましょう、感情は、名前の付く感情も名前の付かない感情も、とにかく感じきってあげるしかないのですよ、というお話です(ただし、相手にぶつけるんじゃありません、安全な場所で安全に解放する必要があります)。

このところ、この夏に結婚することになった娘と、家でいろいろなものを整理しています。
数日前は、私と主人の結婚~子どもの誕生~今までの我が家のアルバム・・・その膨大な量の写真を整理したり、ビデオテープ(これまた凄い本数)をDVDにダビングするのを業者に頼んだり・・・という作業をしたのですが、作業しながらいろんな話をしました。
あの頃のアナタはこうだったんだよ、とか、あの時のお母さんはこうだったなぁ、とか・・・。ゲラゲラ笑ったり、しんみりしたりしました。

振り返ると私ときたら、超のつく熱心な子育てをして、要らんこともたくさんして、後悔がたくさんあります。娘にも息子にも、謝りたいことがたくさんあります(これまでにも何度も謝っているのですが、まだまだ足りないです)。

それでもこの30年、子どもたちのことが何よりも大事で、大事なことランキングが2位以下になったことはなくて、とにかく可愛くて仕方がなかったし、「あなたのことが本当に大切」「あなたのことを愛してる」というメッセージだけは、存分に、鬱陶しいほどに、伝わっているだろうと思います。

でも、ほんとにいろいろ間違えました。
間違えて、間違えたことを謝って、そしてそれを子どもたちから許してもらって・・・という繰り返しを経て、私はなんとか親にしてもらい、
子らに間違えを許してもらって親にしてもらったことで、自分も、許せなかった自分の親の間違いも、許すというか諦めて緩んで楽になることができたという思いも感じています。

親も間違えるよね、ということです。
一生懸命やるんだけど、やっぱり間違える。未熟な人間だから。

これを書いていて、かのマイケル・ジャクソンが、2001年にオックスフォード大学で行った講演を思い出しました。
そのスピーチは、様々なサイトで引用されていますし、YouTubeでも聴くことができるのですが、久しぶりに聴いてみました。
マイケルは、こんなことを言っているんです。

私は、私の子どもたちが大人になったとき、私のことをどんなふうに思うだろうか、と考える。
どこへ行く時も連れて行こうとしたし、何よりも一番に優先したつもりだから、そのことは必ず覚えていてほしいけれど、いつもパパラッチに追いかけられていた自分は、公園で一緒に遊んだり映画に行ったりはできなかったわけだから、子どもたちは大きくなって自分を恨むんじゃないか、どんなふうに影響を与えてしまうだろうか…と考えてしまう。

でもそのとき、子どもたちが私のことを大目に見てくれますように、と祈らずにはいられない。「お父さんはちょっとばかり特殊で難しい環境にいたわけだけど、そのわりにはよくやったよな」「お父さんは、まぁ完璧ではなかったけど、温かくていい人だったよな。僕たちにたくさんの愛をくれようとしていたしな」と、思ってくれるといいな、と思う。
(中略)
私たちはみな、誰かの子どもです。そして親たちが、どんなにいいだろうと思って計画を立てて努力をしたとしても、かならず親というのは間違うものです。だって、私たちはすべて、ただの人間に過ぎないのだから。
私は、自分が親として至らなかったとを子どもたちに許してほしい、と思うにつけ、私は自分の父親のことを思わずにはいられなかった。
私は若い頃、父親を否定していたけれど、今は、父は父のやり方で私を愛してくれていたのだ、と認めないわけにはいかなくなった。

・・・親になり、子どもに許されることを学んで、自らの親を許した・・・という話、愛の話を、マイケルは、優しく、静かに、語っています。改めて、すごい人なのでした。

 

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