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尊敬してた同級生にバッタリ会う

きのう、ホームセンターの木材売り場をうろうろしていたとき、懐かしい友だちにバッタリ会いました。
Tくん。小学校の同級生です。
(私は今も生まれ育った町に住んでいるので、ときどき同級生に会います。)

Tくんは、勉強もよく出来ましたが、優れた人柄で、クラスの、そして学校の生徒みんなの リーダーでした。担がれて生徒会長もやりましたし、有名人でした。

Tくんについては、今でも忘れられないエピソードが幾つもあります。

ある日の放課後、校庭でクラスのみんなで、なんという遊びだったか、とにかく “陣地” にランクをつけて行うゲームをしていたときのこと。
社会科で「士・農・工・商」「えた(穢多)・ひにん(非人)」というのを習った直後だったので、誰かがその「士」「農」「工」「商」に加えて「えた」「ひにん」を、陣地の名前としてつけて、そして皆で遊んでいたのですね。小学生って、習って知った新しい言葉、すぐに使うでしょう、浅はかなんだけど悪気はない、あれです。
それを、担任の先生が聞きつけてやってきて、ものすごく、ほんとにものすごく叱ったんです。普段は温和で声を荒げたりしない優しい先生が鬼の形相から泣きそうな顔までして私たちが使った「えた・ひにん」を叱ったものだから、みんな相当ショックを受けて、項垂れて黙りこくってしまいました。
そんななかTくんは、(Tくんだって私たちと同じ “いち生徒” で同列のはずなんだけど)、ひとり 先生の前へ進んで、まるで「自分が付いていながら…」とでもいうかんじで詫びて、意味の解っている人でなければ言えない立派な反省の言葉を述べ、さらに先生に、明日できたらこの身分制度の話と差別について改めて授業をしてもらえませんか?とお願いしたのです。
見事な態度に、私は心底感心してしまいました、こんな小学生がいるんだなぁ、すごいなぁ、と。

またあるとき、全校朝礼でのことですが、6年生の自分が退いた生徒会長の任に新しくついた5年生の新・生徒会長の男の子が、挨拶に壇上へ立ったものの緊張し過ぎて可笑しな様子になってしまったことがありました。
たくさんの生徒がクスクス・ゲラゲラ笑い出し 揶揄ったりして、騒然として収まらなくなってしまったのですが、Tくんが、「みんな、よくないよ。初めてのことなんだから当たり前でしょ。彼が話し出し易い雰囲気つくってあげようよ」と言ったんですね。大きな声ではありませんでしたが、澄んだ通る声でぴしゃりとそう言ったら、Tくんの周りから静かで温かい空気になって・・・。
私はまたしても、Tくんって何者なんだろう、すごいなぁ、と感心しました。

そして、卒業式の日。大概の子がスーツなどを着て おめかしをして来ているなか、普段着で来て、もじもじと恥ずかしそうにしている男の子がいました。お母さんが居たり居なかったり…という、なかなか大変な家庭の子でした。
その子の様子を見つけたTくんたら、自分は高級そうなジャケットとネクタイを身につけてきていたのに(Tくんは社長の息子でとても裕福な家の子)、急いでネクタイを外しジャケットを脱いでロッカーに突っ込み、もう一人、察しのよい優しい男の子がいたのですが、その子も同じようにして、そしてその普段着で来た男の子と3人で、肩を組んで教室を出て、式場の体育館へ向かったんですね。
もう、最後まで、Tくん粋すぎる、Tくんってなんなん…?と泣きそうになりました。

・・・などなど、小学生の頃から立派で、私もみんなも尊敬して別格扱いしていたTくんでしたが、昨日会った58歳のTくんも、い~いかんじでした。徳の滲み出た、温かい笑顔の素敵なおじさんになっていました。

「Tくんは、みんなのお兄さん、みんなのお父さんだったよね」と言ったら、「あかりさんこそ、みんなのお母さんだったよ? なんか安心感もたらしてくれる人だった」と言われました。そっか・・・。

元気でいましょうね、またいつかね、と言って分かれました。
数少ない尊敬していた同級生、Tくんとの、嬉しい再会でした。

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