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その道一筋、という人の美しさ

我が家のリビングルームの片隅に、机を囲む 高さ120cmのL字の壁がありました。
そこではもう、デスクトップのパソコンもプリンターも使わなくなり、そうなるとどうしても、物置き場になってしまっていて、これはよくないね、という話になり、それを撤去してもらうことにしました。

撤去と言ってもその壁は、15年前のリフォームのときに大工さんが、ビスとボンドでガッチリと床に作りつけてくれたものでしたので、やっぱり大工さんによる撤去工事が必要なもので、なかなか費用がかかってしまうものだということが判ったのですが、やっぱり要らなくなったものは無くしたいね、と家族で話し・・・。

お願いした工務店から来た大工さんによる解体・撤去作業のあと、やって来たのは「塗装職人さん」でした。
工務店の社長さんのお話では「ちょっと簡単には巡り合えないレベルの技術を持った職人さん」で、普通の料金の倍ほど取る人なんだけれど、とにかくどんな傷でも直してくれる、呼ばれて仕上がりのチェックをしに行くと、どこが傷だったか分からなくて困るくらい、とのことでした。

でも、この我が家の床も、ほんとにちゃんと修復することなどできるんだろうか・・・、フロア材の下地部分が露出してしまっているけど大丈夫かしら・・・、などと思ったのですが・・・

2日かけての作業で、我が家の床は本当に綺麗に修復されました。
家族一同、驚きました。主人など「これは、重要文化財とか国宝級の工芸品なんかを修復するレベルの人だよね(笑)」と言って唸っていました。

これはどういう技術なんだろう、この方はこれまでどう歩いてこられた方なんだろう・・・。
そう思った私は、作業が終わったといって声を掛けてくれたその職人さんに、いろいろとお話を伺いました。

職人さんは、
小さい頃から絵を描いたり物を作ったり直したりするのが好きで、大人になったら家具職人になりたいと思っていたこと、
実際に就職した家具づくりをする会社では、新しい品を作る仕事もさせてもらったが、次第に高価な家具の需要が減って、次第に、古くなった家具を直す仕事や、住宅で使われている木材の部分を修繕したり塗り直したりする仕事をするようになったこと、
喜んでもらえることもあったけれど、”直す” “元通りにする” 仕事なので、完璧に出来て当たり前だと思われるので、そこは辛いときもあった、でも自分は木を加工する仕事が好きで、それを離れる選択肢はなくて、収入は多くはなかったけれど続けてきたこと、
その後独立をして、家具屋さん、工務店さんから仕事をもらってやるようになったこと、
今は受けきれないほどの仕事を頂戴していることをとても有難いと思っている、ということ・・・
そんなお話を丁寧にしてくださいました。私は尊敬の気持ちでいっぱいになりました。

その職人さん、すごく美しい目、すごく美しい手をしていました。
その道をこつこつと一筋に来た・・・という人特有の美しさだなぁと思いました。

お道具の一部

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