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「苦手な人がいます」

「毎日のように会わなくてはならない環境にいる『苦手な人』をどうしたらいいか」というご相談が、ときどきあります。
それならそこから離れることを考えましょう!とはいかないケースがほとんどではありますが、私に相談をする時点で既に相当お困りなわけですから、当面我慢して少しでも心安らかにその環境に居るために、心理的な対応策のアドバイスをさせてもらうとともに、やっぱり、なんとかその環境から離れる、その苦手な相手から離れる…という方向で一緒に考えていくことになります。

私は昔、ある独立行政法人で、ちょっとだけアルバイトをしたことがあります。
手のかかった下の子も小学校に入ったので、そろそろ社会復帰しようと思い、「自宅から徒歩で行ける事務系の仕事」という条件で探して見つけた仕事でした。
説明を受けた業務の内容に納得ができ、事務の仕事には自信があったので、よし!頑張ろう、とヤル気満々で勤め始めたのですが…
私に直接指示を出してくる上司の おばさんが、もう、とんでもなくデキが悪いくせに皆に威張っていて、狭量で強情で鈍感で、すごく苦手なタイプの人だったんです。
仕事の指示もおかしくて、私はひとつひとつ、ヘンなことやってるなぁ、ダサいなぁと思いながら、とりあえずは…と、それに従っていました。変な(どう考えても不要で、害でしかない)ルールを強いてくる人だったのですが、私は新入りのアルバイトですから、そのおばさんが長い年月をかけて編み出したと思われる方法にケチをつけるわけにもいかず、こういうふうにしても同じというかむしろずっと良いと思いますが…?などと控えめに申し出ても、睨まれるか舌打ちされるか無視されるかでしたし、そもそも、どういうわけでそのポジションにまで上って行ったのかは謎ですが、とにかく そのおばさんが ”女帝” として大きなチームを率いていて、それは何をどうしたってきっと変わらないだろう、ということが、数日通ううちにわかりました。だから、もしここに居ようと思ったら私は自分の良き部分を殺しておかなければならないなぁ…と。
採用される時、面接も1次、2次、最終…と大層で、採用決定後のガイダンスや研修もとても丁寧だったし、人事の人にはとても期待してもらったのでほんとに申し訳なかったのですが、そこを私、1週間も働かないうちに、辞めてしまいました。
今ならその決断を悔いることはない(そもそもそういう所へ応募しない)でしょうが、当時(40歳まえ)の私は、暫くの間いろいろ考えて落ち込んでしまいました。ご迷惑をかけてしまったなぁ、失礼なことをしたなぁ、もう少し耐えて努力してみてもよかったか?、さてこれからどうしようか…と。

「苦手な人なんて、どこへ行っても居る」という人もいますよね。
たしかに、どこへ行っても、気に入らない人、苦手な人がいて、必ず悩まされることになる…という場合はやっぱり、相手ではなく自分のなかに、見るべき課題があると思わなくちゃならないかもしれない。

でも…、自分が誰かをとても苦手で、その人と一緒に居ると自分が萎んでしまう、元気ではいられない…という毎日を送っているなら(一緒に居ない時間まで、その人のことを考えてしまって嫌な気持ちになっている…という状態なら)、その相手のために 自分を守ってあげられていない、自分のことを大切にできていない わけなので、その環境は変えて改めなくては。

必ずしもスパッと完全に離れることはなくて、一緒に居る時間はなんとかやり過ごせる、ということなら、せめて一緒に居ない時間は、その人のことを考えない、と決めましょう。その人に割いてしまっているエネルギーはムダ、もったいないです。

そうして、こんなふうに考えてほしいです。
自分を中心とした、幾重にもなった、人の “輪っか” を思い描いてください。
その、何重にもなった人の輪の、ちょっと遠いところには、嫌な人、苦手な人も、そこそこ居る。そりゃそうです、世の中そんなもんです。
でも、その内側、自分に最も近い輪っかのところには、好きな人、大事な人が居る。
そしたら、自分はそこに居る人たちを、うんと大切にする、愛おしむ。
…そんなふうに考えることが出来たら、まぁしょうがないか…と割り切れるかもしれない。

苦手な人の居る環境から、逃げ出したっていいし、逃げ出さずに我慢できそうなら、それでもいい。どちらでもいい。
でも、自分に近い輪っかに居る人たちを大切にすること、自分を中心にした人生、自分の幸せに責任を持つ人生を送ること、それは譲らずにやっていきたいと思います。

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