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息子に教わったこと

私は、身の回りに「う~む、どうしたものか・・・」と思われることが起きると、九州に住んでいる息子(今年30歳)に連絡してみることがあります。
相談する、というのではありませんが、事情を話して「これってどうなんだろうね」「どう思う?」と、意見を訊いてみるのです。息子ならきっと分かってくれるんじゃないかな…という期待があり、彼ならどう考えるだろう…という興味があるんだと思います。

一昨日も、別件で連絡したついでに、ある身近な人の抱える問題について気になっていたことを、こんなことがあるんだけど、どういうことなのかなぁ、どう思う?と、彼の見解を尋ねてみました。
すると息子は、たぶんその人はこう考えて、そう言うしかなくて、でもやり方を間違っちゃってるんだね、気づくのには時間がかかるかもだけど、お母さんの立場からこういう働きかけをするっていうのもありじゃないかなぁ、などと、新鮮で、的を射ており、そして公正で優しい ひとつの考えを聞かせてくれました。

その話を親友にしたら、「すごいね!そんなことを言える29歳って、なかなかいないんじゃないかな」「小さい頃から20歳過ぎまで、ほんとに いろいろとやらかしてくれた けど、今思うと、どれもがなくちゃダメだったんだろうし、きっとあの時期を通して、自分のこと、人のこと、人の人生ってものを、じつはしっかり考えてたんだと思うよ」「驚いちゃうくらいの知恵と優しさを持ってるよね」と大いに誉めてくれたのですが、それを聞いて私は、ああそうかもしれない、私はいまや、息子をとても信頼しているんだな、と気づかされました。

息子は、小さい頃はもうほんとに、どうしたものやら(泣)…という ” はみでかた ” で、幼稚園でも小学校でも、先生方や ちゃんとしたい周囲に 大いにご迷惑をかけてしまう子でしたし、中学受験をして入った学校(厳しい進学校でした)は2年生で退学していますし、高校時代は、不登校にこそなりませんでしたが留年スレスレのサボり方をし、ゲーセンに住んだ方がいいのでは?というくらいゲーセンに入り浸り、家では自室に閉じこもりアニメ鑑賞と読書とオンラインゲーム三昧の昼夜反転生活、プチ家出も数回、大学は1年で辞め、その後もひとつのことを続けたことはなく・・・、私はもう本当に、しょっちゅう頭を抱え、胸を痛め、弱ってしまうばかり・・・、そんな状態を長く長く経験しました。

でも、そんな嵐の時期の後、温存していたらしい力をゆっくりと使い始めた息子は、流れ流れて(苦笑)、4年前に今の仕事に就くと、職場の人たちに恵まれ、自分の良さが大いに生きる仕事を軸にした生活のなか、彼の人の良さ、優しさ、明るさが、本物になっていったようでした。
また、それにつれ、なかなかの「賢老人ぶり」も感じさせるようになりました。
私は話をするたびに、我が息子ながら感心するし、たくさんの大事なことに気づかされます。

ほんとに、子どもって、自分の意思で歩いている道の途上でのみ成長するし、本来のその人として生きることができるようになるのだなぁと、しみじみ思います。
子どもが苦しんでいるときって、見ている親のほうも苦しいものだから、あれこれやってやろうと思ってしまうけれど、とにかく心配し過ぎないこと、余計な手出しをしないことなのだと改めて思います。

子どもが病気をしたり問題行動を続けたり不登校になったりすると、親は本当に心配します。苦しいです。
「よその子たちは順調なのに…」「うちの子はみんなから遅れてしまっている」と焦ることもあるでしょう。

でも私は、こう思います。息子が思い知らせてくれたことです。

人生の早い段階で、これは違う、これは嫌だ、無理だ、というものに出会って、その感覚に従って行動した子は(それが例えば「学校へ行かない」「ひきこもる」という、大人に喜ばれないネガティブな選択だったとしても)、
それはひそかに、渾身で、何かを守っている、ということなんだ。
その子が「今じゃない」と思って表現せずにいるものを、親の方が焦って、隠し持ってるものを早く出して使え、ちゃんと歩け、と強いてはいけない。
親は、堪えて、信じて、見守っていなくちゃいけない。ときには、諦めなくちゃいけない。

相当な忍耐・・・かもしれないけれど、やっぱり、親は待っているしかないし、邪魔しちゃだめですね。
潰したり壊したりしないでいてあげさえすれば、ものすごく時間はかかるかもしれないけれど、必ず芽を出し育って、花を咲かせる、実をつける。

息子は、すごく時間をかけましたが諦めずに「自分らしい自分」「自分が好きな自分」を探し続け、喜びの多い仕事と充実した生活を得たようです。聞けばお給料は愕然とする安さですし、相変わらずの繊細さと不器用さゆえ、いろいろな苦労をしてはいるようですが、引き続き、グッドラック、良い旅を!と思います。

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