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「おなごの覚悟」~『鎌倉殿の13人』

今年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。初めの頃は、特に熱心に見ていたわけではなかったのですが、上総広常が見せしめに…と殺された回、あのショックが大きくて数日引きずり…(苦笑)、以来これまでの回は、一切よそ事せずに集中して観ています。
上総介が殺された回の後も、木曽義仲、源義高、源義経・・・と毎回のように重要人物が命を落とし、その描かれ方、怒涛の “退場” は「鬼脚本」などと言われているようですが、三谷幸喜氏の容赦のない、そして実に巧みで見事な脚本で、私も まんまと “やられてしまっている” 次第です。

次々と登場人物が退場していくここ数回はなかなか辛いのですが、戦の場や謀略で男たちが死んでいく傍らでは、当然、女たちも辛い目に遭っています。
先週、義経が討たれた回では、義経の妾・静御前(石橋静河さん)が「生きたければ黙っていろ」と義経から言われていたのに、捕らえられた後、己を静御前だと名乗り、「しづやしづ…(静や静やと私の名を繰り返し呼んでくださったあの頃に戻りたい)」を歌い踊ったシーン、
それから、義経の正妻・里(三浦透子さん)が、義経とともに追い詰められ「もはやここまで」となったとき、敵ではなく夫に殺されようとして(私の想像)、京で静御前を襲わせたのは自分だとネタばらしの告白をしたシーン、
どちらにも「おなごの覚悟」を見ました。悲しい、見事な覚悟でした。

また、今週は、義時の妻・八重(ガッキー)。
かつで自分の子・千鶴丸を川に沈められるという悲惨な過去を持つ八重ですが、その後、義時と夫婦になり授かった子どもとともに、鎌倉で孤児となった子たちを引き取り育てていました。今回、八重は、子らを遊ばせに行った先で、亡くした子ども千鶴と似た名前、鶴という名の男の子が、川に取り残され流されかかったのを見て、川に入ります。亡くなった千鶴と重なったのだなと思わせる演出がありました。鶴は助かりますが、八重は川の中に消えます・・・。消える直前の八重は、ほんのり笑みを浮かべていました。かつて我が子のことは救えなかったけれど、ひとりの男の子を助けることができた、という安堵でしょうか…。ガッキー、今回はすごく慈愛に満ちた母の顔をしてるなぁと思って見ていたら……嗚呼…。
その頃、夫の義時は、伊豆で、仏師・運慶が作っている仏像の顔を眺めているところでした。「ふと、妻の顔を思い出してしまいました」と言って・・・。ほんとうに、なんて脚本でしょう。

なんでそうなってしまうかなぁ・・・という思いにさせられる、戦に生きる男たちの姿と、
男たちの言いなりになり 犠牲になってしか生きられないなか、「覚悟」して潔く生き切る女たちの姿。
シンプルな時代です。でも美しい。
そう思わせられ、毎回こころを揺さぶられ、月曜の朝は虚脱感と闘うことになっている 三谷作品です。

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