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「去るもの」を追ってみる

「来るもの拒まず去るもの追わず」という言葉があります。
もともとの、孟子だったか蘇軾だったか中国の言葉では、「往(さ)る者は追わず、来たる者は拒まず」と言いますね。いずれにしても「離れていく相手を引き止めたりはせず、やって来る相手は誰であれ受け入れる」という意味の言葉です。

これは、自分のところへ来る人はどんな人であっても分け隔てなく受け入れるし、去っていく人のことは追ったり執着したりしない、という考え方、スタンス、性格に対する褒め言葉として使われることが多いでしょうか…。

この、相手を尊重したその在り方は、よいこととされるのでしょうが、でもじつは、ドライさだったり冷たさだったりを表していることもありますね。

みなさんは「来るもの拒まず去るもの追わず」な方でしょうか?

許可を頂いたので、ときどき来てくださるお客様のKさん(30代男性)のお話をします。
Kさんは大人しく穏やかで、まさに「来るもの拒まず去るもの追わず」なタイプ、人に寛大で優しいけれど、こと人間関係に関しては期待や希望をあまり持っていない、という人でした。
仕事上もプライベートも、いつもそれなりに楽しく気持ちの良い人付き合いをしているようでしたが、一定の距離を保つ(距離を詰めない)のが好きだし、たとえちょっと蔑ろにされるようなことがあっても、寛大で気にしない…ということにしている、と言っていました。

それがこの度、生まれて初めて、去ろうとする人を追ってみた、と言うのです。
“去るものは追わない” はずの自分が、数か月だけ一緒に仕事をした女性が職場を去ることを知ったとき、自分がその人に抱いていた好意(もっと一緒にいたい、もっと相手を知りたい、会えなくなるのはいやだ)に気づくことになり、動揺し狼狽えていたところ、「たまたま話を聞いてくれた郷家さんにが、いつになく強めに Go!と勧めるもんだから」(笑)勇気を出して引き留めてみた(仕事上も、個人的な交際相手としても)とのことでした。

“郷家さんのいつにない強めのGo!” についてですが…
Kさんという人はいつも他者の思いや動きを尊重して、それに合わせるタイプで、それがKさんらしさでもあったので、私は、人が好すぎるなぁとか、そこはバシッと思い知らせてもよいのでは…?などと思うことはあっても、あぁ、去る人のことは追わないよね…と納得していたのです。
でも今回伺っていたお話から、それこそ初めて、Kさんの「去ると言っている人に、行かないでくれ!と言いたい気持ち」を強さを感じて堪らなくなったので、「たまには人を追いかける、ということをするのもよいのでは?」とお勧めしたのでした。

その後なのですが、Kさん、その女性と「交際を始めました、あの時追いかけてよかった」と報告をくれました。とても幸せそう。ご自分の意思を大事に、思い切って行動をしてみてそれがうまくいく…というのは素敵な体験です。

人生にそう度々はない、「これだ!」「いまだ!」という強い衝動とか情熱を感じたら、それに従って行動してみるものだなぁと思ったお話でした。

そういえば、私の 下の妹も、離婚してからアルバイトとして勤めていた会社を辞める日に、最終勤務を終えて会社を出ようとしたその時、それを聞きつけて走り寄ってきた今の旦那さん(別部署の社員でした)から、「退職するって、いま聞いて飛んできました!今度ごはん行きましょう!連絡先教えてください!」って言ってもらって、現在の幸せな暮らし(ほどなく、子どもを二人連れての再婚をしました)があるんですよね。
旦那さん、後に「あんなこと(ろくに話したこともない女性に、追いかけて告白するなんていうこと)したのはもちろん初めてで、我ながらあの猛ダッシュには驚いた」と、照れ笑いをしつつ教えてくれました☆

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