どうして百合子(土屋太鳳さん)は朝子(杉咲花さん)に、嫌味を言ったり憎まれ口をたたいたり・・・と、あんな態度を取っていたのか。恋愛や結婚も しないと決めているのにはどんな訳があるのか。同じく幼馴染の鉄平(神木隆之介さん)も賢将(清水尋也さん)も、百合子の屈折や抱えている葛藤を、知っているはずだけど いつもなんとなく口ごもったかんじを見せ引いているようなのはなぜなのか・・・。
3話までで描かれてきたものを思い出しながら観た第4話でしたが、なるほどそういうことだったのか・・・と納得して、長崎の人たちが体験したこと、いまだに抱えているものを想像しました。
百合子が、爆弾を落とした人たちも同じ神を信じていた、神は何もしてくれない、どうして・・・と和尚(さだまさしさん)に尋ねました。
それに対して和尚は、神は何もしない、何かをするのは人間、人を生かすも殺すもみな人間のすることなのだと言います。そして、自分たち大人が苦しみを作り出してしまったのだと謝ります。
預け先で空襲に遭わせて娘を二人、兵隊として送り出した息子を一人、失っていた鉄平の父(國村隼さん)の、自分には学がないから、戦争が間違いだとはこれっぽっちも思ってなかった、だから偉くなきゃだめなんだ、偉ければ騙されない、偉い奴はみんな生きてるじゃないか・・・という言葉も堪えました。
「死んだ者たちは帰らない。過去の過ちは消えない。でも私たちは祈る。今度こそ間違えないように、悲しみを繰り返さないように、強くいられるように、願いを込めて、祈る」
第4話ラスト、端島の夏祭り、精霊流しの場面の、鉄平のモノローグですが、脚本・野木亜希子さんの、強い強いメッセージを感じました。
人は間違える。
でも、奇跡を起こすのは、人。
過去から続く道、未来へ続く道を、私たちはどう歩く? どう生きる?
野木さん、放送前Xにこう投稿していました。
「戦争の傷を、どれだけ想像できるのか」
この第4話の副題「沈黙」とある脚本?の画像も載せています。遠藤周作の同名小説を思い出しますが、彼らは重いものをそれぞれ胸に抱えながら、「沈黙」で大事なものを護ってきたのだな・・・と、登場人物それぞれの沈黙を思って、唸りました。野木さんたち作り手の覚悟も感じました。俳優さんたちもほんとによいですね。
日曜の夜のこのドラマが、たくさんの人に観られ、語られ、考えられるとよいなぁと思いました。
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