「エンプティチェア(空の椅子)」という技法があります。
これは、
椅子に座った自分の向かいに、一脚の空の椅子を置き、
そこに、自分が話したい相手(★)がいる、と想定して、対話する
というものです。椅子を2脚、使うわけですね。
(★)対話する”相手”は、他人だったり、自分の中に存在する考えだったり、辛い症状だったり、いろいろです。
自分が話した後、相手が話す番になると、自分が向かいの椅子に移って座り直し、その相手の気持ちになって、話をする、
それに対してまた、自分の言いたいことを、自分の椅子に戻って話す…
ということを続けます。
これを、”一人芝居” など恥ずかしいとか、馬鹿らしい、と感じる方もいるわけですね…。わかります。
でも、「やりたいです」「やってみます」とおっしゃる方には大きな効果を出すことができるので、私は、カウンセリング・セッションの中で、たびたび活用します。
●その時 相手に言えなかったことを言う。
●その時の相手の気持ちを理解する。
そうして、抱えて来た辛い感情を吐き出して、その囚われた状態から解放されるのに、なぜかすごく効果があるんですね。
実は私も、20年ほど前にカウンセリングを受けた時に体験して、その効果の大きさに驚いたことがあります。
当時私は、もう会えなくなったある人に、強いネガティブな思い(怒りとか悲しみとか…)や “言いたかったこと” を抱えていて、とても苦しかったんですね。
カウンセラーさんが「エンプティチェア」を勧めるので、やってみたところ、
初めこそ腰が引けていたものの、だんだんと、その時その相手に対して私の言えなかった思いが口から出て(わめいたり泣いたりもしました…笑)、
相手の椅子(向いにある”空の椅子”です)に座ると、なぜかその人のその時の気持ちが、想像してるだけ…という思考も挟まらなくなるほど自然に、これまたスラスラと口から出てきました。
そして、こっちの椅子、向かいの椅子…と何往復もするうちに私は、自分の思いを言い切り、相手の気持ちや事情も理解し、納得し、気が済んで……
ワークを終えてカウンセリングの席に戻ったときには、自分の心の中心にどっかり鎮座し右にも左にもどけられなかった 巨大な岩石 は消えてなくなっているのを感じました。
帰り道はもう、鼻歌を歌いながらスキップをしたい感じでした。
そしてそれ以降、思い出すことはあっても、辛くはなくなりました。
ほんとに不思議でした。一生苦しいままだと思い込んでいたのに…。
あれは、
古い感情を解き放つのに、リアルなその時の相手など要らないのだ、
“自分の中に住み続けている相手”に対して”その時の気持ち”を吐き出せればOKなんだ、
ということを勉強した経験でもありましたね。
辛い気持ちというのは、ああなのだろう、こうだったのだろう、と頭の中でこねくり回してカタをつけようと思ってもダメなんですね。
ちゃんと感じ取って表現してあげないと、なくならない。
「古い感情」とは、そういうものなんですね。
「エンプティチェア」 ……一人でも出来ますし、私という「気づきの援助者」が立ち会っているところでやれたら、なおいいと思います。
対面セッションの中でやってみたい方は、おっしゃってください。
ほんとに効果があるので、おススメです!
この記事へのコメントはありません。