映画『兄を持ち運べるサイズに』。
作家の村井理子さんがご自身の体験をもとに綴ったノンフィクションエッセイ「兄の終い」が原作です。
私はこの「兄の終い」を含め村井さんの作品はたくさん読んでいて とても好きなので、映画化されると知り楽しみにしていました。
先日、公開に先駆けての「舞台挨拶付き先行上映」があったのですが、友人がチケットを取り誘ってくれたので行ってきました。
オダジョーかっこいい!、柴咲コウさん、満島ひかりさん綺麗で顔小さすぎる!(大きめのおにぎりくらいだ)・・・と感動しながら、彼らのトークをひとしきり聞かせてもらった後に、作品を鑑賞させてもらいました。
登壇されていた中野量太監督によると本作は「原作6割、新たに村井さんにお聞きしたこと2割、自分のオリジナルが2割」で作ったとのことでしたが、村井さんの原作が、とても大切に描かれていると思いました。
この作品は、絶縁状態にあった実のお兄さんの突然の訃報から始まる、「家族のてんてこまいな4日間」を描いたお話です。
(以下、映画の内容に触れます。)
主人公の理子(演:柴咲コウさん)の兄(演:オダギリジョーさん)は、嘘つきでいい加減、いつだってマイペースで自分勝手、理子にとって迷惑な存在でした。
ある日、警察からの電話で、その兄が亡くなったので引き取りに来てほしい、と言われます。
そういえば数日前にも救援要請メール(お金貸して)を寄越していたのに無視して、手を差し伸べることをしなかった・・・
とにかく亡くなった兄を “持ち運べるサイズ” にしてしまおう、ということで、兄がその息子と暮らしていた宮城・多賀城に向かい、既に離婚していた元妻(演:満島ひかりさん)と一緒に「後始末」を進めるのですが、そのなかで理子は、知らなかった兄の生活を知り「兄と出会い直していく」んですね。
亡くなった知らせを受けて足を運んだアパートには、古い家族写真が貼られており、昔よく作ってくれたという焼きそばの袋麺があり、病気をしながらも再起をかけて就職するために書いた履歴書があり、警備員の制服もぶら下がっているのを発見する・・・
元妻・加奈子からは「もしかしたら、理子ちゃんには、あの人の知らないところがあるのかな・・・」そう言われる・・・
兄が部屋に残した「痕跡」と、関わった人たちの話から、理子は、自分が知らなかった兄の状態、兄の暮らし、兄の思いを想像することになります。
理子は、改めて兄という人を頭の中に作り、”対話” していくんですね・・・
実際、兄に冷たくしてしまい、それきりになってしまったことへの後悔は大きかったかと思いますが、初めは怒りまみれに後片付けに向かう理子が「痕跡」に衝撃を受け、そこから兄を想い、兄と “対面” していくところ、心が柔らかく開かれていくにつれ、幼かった頃の兄妹の温かな思い出を思い出す描写には、胸を打たれました。
これがほんとうの「供養」なのだろうなぁ・・・とも。
人の人生って、肉体的な死によって終わらない。関わった人それぞれの心の中に存在するし、その「物語」は、遺され生きていく人が書き換えたり書き加えたりする毎に変わっていく。・・・そんなことを思いました。
明日28日から全国で公開されるとのこと。ご興味ある方は是非、ご覧になってください。

