「最後とは知らぬ最後が過ぎていく」

絵本作家の かがくい ひろし さんの展覧会が静岡で開催される、という広告をXで見かけました。行きたいな、でも静岡か・・・

かがくい ひろし さん。
お子さんのいる方ならきっとご存じ『だるまさん』シリーズの作者です。

私が子育てをした平成初期にはまだ出版されていなかったので、私が『だるまさん』を知ったのは、孫娘たちの本棚にある絵本を手にとったとき、数年前のことです。

娘は、ロングセラーの名作絵本や自分自身が好きだった本などをたくさん買って、それから図書館で借りてきて、毎日 子らに読んでやっているようですが、『だるまさん』シリーズは子どもたちが最も「読んで」と持って来た本だそう。わたしも何度読んでやったか数え切れないです。

「だーるーまーさーんーが」と読むときは、だるまさんの絵に合わせるように体を左右に揺らし、めくったページにニッコリする・・・、その繰り返しに、子どもたちも読む私の方も、とっても楽しい気持ちになるんですよね。

で、私は、この かがくいひろしさんの本を読むと、ときどきですが突然、まぶたの裏がガクンとなることがあるのです。
なんでだろう・・・楽しいだけの絵本なのに なぜ涙?と思って、かがくいひろしさんのことを調べてみたことがあるですが・・・

かがくいさんは、2009年に54歳の若さで亡くなっているんですね。
特別支援学校の先生として28年間 教壇に立ち続けたのち、2005年、50歳で遅咲きの作家デビューして、たった4年で亡くなってしまっている・・・
なんということ・・・!と驚きました。

でも納得がいきました。
私はやっぱり、この絵本の湛えている、そして作者のかがくいさんの、優しいエネルギーに反応して涙が出てしまうんだな、と・・・(私は “波動感知能力” が異様に高い)。
かがくいさんの子どもたちへの愛、圧倒的なんですよね・・・

『だるまさん』シリーズ(累計600万部近いそう。すごい。)を始め、4年という短い期間に世に出してくださった絵本は、日本中の子どもを笑顔にしているんですね。素晴らしい。

孫娘に「だーるーまーさーんーと」と読んでやっているとき、あぁなんて幸せなこと、と思います。今この時を大事にしよう、忘れずにいよう、と思います。
だってきっと、あと数年したら『だるまさん』の出番はほぼ無くなる。孫たちが絵本を抱えて膝に乗ってくることもなくなる。
そう、子どもが育つのって ほんとにあっという間。

俵万智さんの短歌に
『最後とは知らぬ最後が過ぎてゆく その連続と思う子育て』
という句があります。

ほんとだなぁ・・・と思います。
「最後とは知らぬ最後」という言葉にぐっときます。
子育て中のママは、最後と思っていない最後を、毎日毎日体験している。

抱っこ抱っことせがまれるのも、後追い激しくておトイレまで着いてこられちゃうのも、お食事ポロポロこぼされちゃうのも、髪を梳かしたり爪を切ったり鼻をかんでやったりするのも、暑い日寒い日に自転車の後ろに乗せて走るのも、手を繋いでゆっくりゆっくり歩きながら一緒に歌を歌うのも・・・

ほんとにお疲れ様と思うし、「私ひとりの時間がないよぉ」「早く大きくなって〜!」って思うこともあるでしょう。
でも、この子育て中の毎日の出来事って、後で思い出したら「幸せな時間だったなぁ・・・」「あれはいつが最後になったんだろう・・・」って、思うことばかりなんですよね・・・

だから、いつもいつも心を込めるとか、いつもいつも楽しむとか、そういうわけにはいかないかもしれないけど、子育て中のママパパたちには、いつの間にか終わってしまう「子どもと一緒に過ごす時間」を、どうか大事にしてほしいと思います。

ばーなーなーさーんーと・・・
・・・「ぽ に ん」

「ぽにん」して一緒に笑った「最後」が いつになるか、わからないですからね。

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