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「開かずの間」のドアを開ける

初めてのセッションから5年・・・というお客様。
この5年で、お仕事を変え、住まいを変え、体調を大きく崩してご実家で療養し・・・と、様々なことを経て漸く、歩いていく道が定まり諸々整いました、というご報告を、この度、してくださった方があります。Eさん(30代女性)。

ご両親との問題を解決していこうとするときに ご両親と一緒に暮らしている、というのは なかなか難しいことが多いので、可能な場合は別の住まいにて、というのが定石ではあるのですが、そうもいかない事情がある場合もあります。
経済的なことだったり、心理的に離れることへの抵抗が大きかったり(無意識ですが、まだ 「子ども」でいて世話を焼かれたい、甘えたいと思っていることも・・・)。

でももちろん、一緒に住んでいたら問題が解決できないということはありませんし、むしろ、”超接近戦” に臨むことが 問題解決の大きな良いきっかけになっていくこともあります。
Eさんもまさにそうでした。病気をして実家へ戻るしかなかったのだから「けがの功名」ですが・・・、と仰っていましたが。

ご両親との同居には、心を刺激してくる出来事が毎日のようにあって、辛さが増して苦しんだこともあった、とのことでしたが、それでもある日、お父様からの思ってもみなかった優しい言葉をもらって驚いた、ということがあったのだそう。

お父様ご自身もご自身の人生を振り返る年齢になり、振り返るなか、後悔やら懺悔の気持ちやら、そして感謝の気持ちが湧いて・・・ということかもしれませんが、私には、Eさんの苦しむ姿や再起に向けた様々な努力が、お父様の心を動かした、そして、お父様が差し出してくださったものをEさんが受け取った、そのことによってEさんは、”なぜだかわからないけれど” 急速に元気になったのだと思いました。

「私は父の “これ” を欲しかったのだとわかりました」とのこと。
ご自分の感情や欲求を大事にすることを、何年か前に私と約束したEさんでしたが、そんなふうにご自分に寄り添うことを続けて体得していったEさんだからこそ、得られた実感でしょう。
本当に根気強くご自分の救済を目指してこられたEさんなのです。

元気になったEさんは、焦りもあって新生活をスタートさせることを急ごうとしたけれど、良い機会だから・・・ということで、これまで決して開けることがなかった心の部屋、一生手つかずにしてもいいかなと思ってきた心の部屋を、開けに行ってみようと思う、との決意表明もいただきました。

「恐ろしい気もするけれど、楽しみ」・・・そんなふうに言えたEさんです、きっとその部屋のドアを開けたら、何か大切な物を発見するか、あるいは、怖いものなど何もなかったと確認して、さらに元気になり強くなり優しくなって、その先へ進んでいくことと思います。

心の中の「開かずの間」は、誰でも持っているものですが、その部屋の存在に気づくこと、そこへ近づき開けてみることは、誰もがすることではないです。対峙できないものが存在している部屋のドアは決して開かない。というか、そんな部屋は無いことにして生きます。

だから、開けにいってみようと思う、というのは明らかに、進歩、拡大のチャンスを迎えている、ということ。すごいです。
また、そうしてみようというエネルギーは、お父様の言葉によって大きな癒しや浄化が起こったことによって呼び込めたものでしょう。素晴らしいです。

★★★

人の心にはたくさんの部屋があります(・・・という言い方をします)。
人はそれぞれのタイミングときっかけで、開けたことがなかった部屋のドアを開けてみるチャンスを得ます。

もし、蹲って泣いている子がいたら助け出して引き取って育てることができるし、
要らないものがぎょうさん詰まっていたら捨てて掃除をして窓を開け、風を通すことができるし、
さらにその先へ繋がっていそうなドアがあったら開けて進んでみることができます。

そうやって、自分をより拡大させていくことのお手伝いをすることが、私が最も喜んでする仕事のひとつです。

 

(※Eさんのお話は、ご許可を頂き書かせていただきました。)

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