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あなたは私で、私はあなた ~ドラマ『天国と地獄 ーサイコな2人ー』

昨晩、最終回を迎えた日曜劇場『天国と地獄 ~サイコな2人~』。
初めは、主人公2人(女性刑事の彩子 と 連続殺人の容疑者・日高)の 魂の “入れ替わり” を楽しんで観ていました。
女性と男性、刑事と容疑者、善と悪。主演の 綾瀬はるかさん と 高橋一生さん の演技の凄かったことったら・・・。
また、途中からは「本当に日高は犯人なんだろうか?」「真犯人は誰?」「どんな事実が隠されている?」と、推理を楽しみました。ネットも盛り上がっていましたっけ。

いわゆるスイッチ・エンターテインメントとして、サスペンスドラマとしても、十分に面白かったわけですが、最終話の前話では、2人は再び入れ替わって元の自分の肉体に戻り、真犯人も判ります。
でも本作はそこで終わらず、そこからいよいよ、作品の主題といえるものを見せられることになったのでした。ラスト2週、考えさせられ、感動させられ・・・とても面白かったです。

「それまでにすっかり登場人物たちに惹かれたり感情を移入させたりしてきたこともあって、犯人であった日高の生き別れの双子の兄・東の生い立ち、不遇な人生には同情を抱き、最後の最後に何か報われることがありますようにと思いましたし、
また、登場する皆それぞれに、己の正義があり、大切にしたいものがあることを思い知らされ、その強い思いの結集に心を打たれました。

昨日の最終回で、日高は双子の兄の罪を自分が被ることに決めていました。
兄はとんだ過ちを犯しました。でも、15分早く生まれたがために”長男”となり不遇な人生を送って来て、最後は病気に侵され、人生をやり直す時間さえ持たせてもらえなかった・・・ということを、弟の日高は他人事として切り捨てられなかった。
幼い頃に生き別れたきりになっていて双子の兄に対して、知らなかったこととは言え何もしてあげられなかったことを悔やみ、”私が兄で兄は私だったかもしれない” と考え、兄を守りたいと考えた、兄の犯した罪を背負おうとした、そう思うと切なかったです。

生まれた時から “ついてない” “持ってない” 人がいます。
真面目に一生懸命生きていれば陽の目を見られるとも限らない。
弱い人は理不尽な目に遭い、強い人から搾取され虐げられるばかり・・・ということもある。

犯人・東が弟の日高に、自分の人生が弟のそれと違って悲惨なのは何故なんだよ!と迫るシーンがありました。
「俺の頭が悪いからか!? 俺が怠け者だからか!? 自己責任か!? 違うだろう!」という絶叫、日高は胸が痛かったことと思います。この、生まれるのが15分早かったために天国と地獄ほど違ってしまった兄の人生を想うと、自分の恵まれた人生を後ろめたく思ったかもしれません。

でも最終回、亡くなった兄の犯した罪を被ることにして、殺人は自分がやったと告白する日高に、聴取に当たった刑事の河原(演:北村一輝さん)がこんなことを言うシーンがありました。

「この殺人はお兄ちゃんの『声』じゃないのか」
「立場の弱い人間が、いかに容易く奪われ続けるか。そして立場の強い人間も、こうして最後は自らも奪われることになる。そんなことを言いたかったんじゃないのか」
「やってることは人殺しだ、汚ねえ嗄れた聞くに堪えない声だ、でも、それでも、声は声だ。おまえにその声を奪う正義はあるのか」

自分と真逆の立場の者の『声』。
入れ替わりを見せられてきた私たち観る者が、このドラマの最後、立場が真逆である者の『声』を想うことへと促される・・・、そんな仕掛けになっていたとは・・・。やられました。

あなたは私で、私はあなた。そう考えてみることが出来るのは、やっぱり尊いと私は思います。

それにしても、綾瀬はるかさん、高橋一生さん、ほかの皆さんも皆、素晴らしかったなぁ。もう来週から会えないのが淋しいくらいです。
またひとつ、心に残る良いドラマに出会えて嬉しかったです。

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