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母の思い、子の思い

今朝の朝ドラ『舞いあがれ』。
旅客機のパイロットになりたいから大学を中退して航空学校に行きたい、行かせてください、と両親に打ち明けた舞ちゃん。
お母さんは「はいそうですかって聞けるはずないやろ?」「大学はちゃんと卒業してほしい」と返します。ずっと飛行機を造りたいと言ってきたのだし、親の勝手な期待かもしれないが、小さい頃から手先が器用だったから飛行機を造りたいと聞いたときは、舞に向いてるいい仕事だと思ってずっと応援して来たんだ・・・と反対します。

このやりとり、親子それぞれの気持ちがわかるなぁ…と思いながら見ました。
お母さんの「入った大学は卒業してほしい」も、あなたにはこれが “向いてる” のだから…というのもよくわかる(私も子どもたちにそれを言った記憶があります…)。
舞ちゃんの、いつになく強い調子で、これになりたい、これをやってみたい、このために生まれて来たんじゃないかと思ったくらいだと、ちゃんと表現したのも尊い。

このドラマは、登場人物みんなの思いを細やかに丁寧に見せてきてくれています。お母さんは子どもが小さい頃から必ず、子どもの言うことや問いかけには必ず、きちんと耳を傾け応えてあげていました、雑な対応をしていません。今回も、頭ごなしに否定をせず、心を込めて説得しようとしました。
一方、そんな優しい両親に大事に育てられた舞ちゃんだから、今回の決断の伝え方も、誠実なものでした。解ってもらおうとしていました。
だから、どちらの思いもわかるなぁ…となります。

昨晩は、娘の旦那さんのお母さんと、LINE でちょっと長いやりとりをしました。
娘の旦那さんの家は、伝統を重んじるとても立派な家です、〇〇(和暦)〇年創業の商売をしていて、二つ前の朝ドラ『カムカム…』の「雉間繊維」のお家みたいで…。娘の旦那さんTくんは次男坊ですが(だから娘は結婚できました)、それゆえ後継ぎのお兄さんとは違って自由な進路を好きなように歩いています。
そのTくん、おそらく、ヤンチャな我が娘と結婚した影響もあるのですが、渡米の前に、実家の両親に対して “強烈な” 宣言というか宣告をしました。もうお父さんお母さんの言う通りにはしない、もうあれこれ言って来ないでほしい、もう付き合うつもりはない、というような、「Tくん、どどどどうした??」というものでした。
Tくんのお父さんは「勝手にせい!」となりましたが、お母さんはひたすらオロオロと動揺し悲しんでいます。昨日のLINEもそうですが、私はその “Tくんの乱” 以来、お母さんの混乱や悲しみ寂しさを汲んでは和らげる係をさせてもらっています。お母さんは、『パラサイト 半地下の家族』の、お金持ちパク家の奥様みたいな人。本当に愛らしい、人を疑わない、ちょっと天然な人なのです。とても純粋。
決して人を悪く言わないし、本当に二人の息子を愛情深く育てて来た人なので、この度の  “Tくんの乱” は、相当なショックだと思います。まさか、まさか・・・です。

LINE で話をしていると、自分のことではないからよく見える部分もありますが、やっぱり、同じ世代の母親が、同じ年齢の子どものことで心を痛めている…という点では、身につまされ、我が身を省みては古い心の痛みが刺激されてざわつくこともあります。

親の方はとにかく、愛情深く手を掛けて育てた自負があればあるほど、子どものことは幾つになっても「わかっている」という気持ちで見てしまうし、孫が生まれてりしたら、若かった自分とは違う余裕をもって、その小さい可愛い存在を慈しみたいと思ってしまう。・・・で、それはちょっと時代遅れな感覚の、鬱陶しいものだったりするわけです。

一方、そんな “暑苦しい” 母親から、むせ返るような圧の愛情を向けられて大きくなった子どもの方は、その丈夫なメンタルのベースを作ってくれたのは親なのだというところは意識できないか否定するかして、もう付きまとうようなことはしないでくれ、とシャッターを下ろすようなことを言う・・・。これは健康に育ってくれているとも言えるわけですが、親からすると、ただただ「酷い」。ただただ「なんで・・・??」。

Tくんのお母さんが言いました。
「頭ではわかっているつもりなのに、ついつい『どうしてあの優しいTが?』となってしまう」
「この地球のどこかで元気で幸せでいてくれたらそれでいいはずなのに、やっぱり寂しい。受け取ってもらえないと落ち込んでしまう」

わかるのです・・・。
だけど今は、母の思いは胸にしまって 遠くで見守っているのが一番なわけで・・・。

いつか、きっと随分と違うそれぞれの居場所からの眺めの話など、楽しく分けっこできたらそれでいい。そういうことにいたしましょう、とお話ししました。

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