従弟のKからLINEが来て、警察から連絡を受けた、父親が死んだらしい、とありました。
Kは、私の母の妹(40代で癌で亡くなっています)の息子、40代です。
亡くなったという叔父は、Kと弟がまだ小学生のときに、事業に失敗して借金を作り返せなくなって、妻子を残して失踪した人でした。
その後、女手ひとつで息子二人を育てた叔母が 癌に倒れて亡くなったときには、当時まだ健在だった両親(私の祖父母)や、私の母たち兄弟や、息子たち・・・、親族の誰もが、叔母が癌になって死んだのは “ヤツ” のせいだ!と怒りまくったものでした。
叔父は結局、方々手は尽くしたのですが見つからず終いになって、はや30余年経っていたのですが・・・。
いとこのKもこの度 突然、警察から知らせを受けて、驚いたことと思います。
子どもの頃に自分たちを置いて逃げてしまった父親に抱いた思いは、長い年月のなか様々に有ったかと思いますが、もう、さして感慨はなかったのかな、どうなんだろう・・・。
でも、父親に置いていかれ、母親も若いときに失って、たくさん苦労したと思いますが、弟のTとはずっと一緒に暮らしてきたとか・・・(2人とも未婚、パートナー無し、のよう笑)縁のあった会社で2人揃って面倒を見てもらいながらよく働いて、ここまでやってきました。えらい。
今回、遺骨は引き取らず叔父の郷里に頼むことにしたとは言ってましたが、火葬やその他 後片付けの費用は出して見送ってあげるそう。
「昔々に置いていかれたとは言え、父親ですからね!」と結ばれてたLINEに、これは頑張って歩いてちゃんと人生をやってきたから言えることなんだろうと思いました。目頭が熱くなりました。
私は親戚全員の中できっとただ一人、叔父に対して違う感情を持っていたと思います。
叔父は、妻子を置いて逃げてしまいましたが、私は叔父が、叔母との新婚時代やKたち息子が小さかった頃はとても幸せそうだったこと、良い旦那さんで良いお父さんであろうとして努力していたことを、外からですが見て理解していたし、
「人間は弱いし、間違うよね・・・」という考えを持っていたからです・・・。
皆は 「妻子を置いて逃げるなんて許せん!探し出したら八つ裂きにしてやりたい」・・・みたいな気持ちでいたようでしたが、私は叔父に「ズルしちゃったね。一人で人生やり直したかったのか? 仕方ないなぁ・・・」と心の中でこっそり話しかけているかんじでした。
どうしても怒りや恨みみたいな気持ちを持てなかったのです。私がそういうふうだったことは、やんわり窘められたり非難されたりしたものですが・・・。
叔父は失踪してからどんな人生を送ったんでしょう。幸せな時期はあったんでしょうか。妻や子どもを思い出したでしょうか、思い出さないと決めてたんでしょうか。最期はどうだったんでしょう、独りアパートで亡くなって、暑さで傷んだ状態で発見されたそうですが・・・。
何にせよ、70何年かの人生を終えました。肉体を離れ、知ったこともあるでしょう。
妻は30年も前にこの世を去っていたことや、自分の死の知らせを受け取ってくれた息子たちは、10代で両親を失った後、二人で力を合わせて生きて来たことなど・・・。
後悔やら感謝やら、いろいろな思いをしているんじゃないかと思います。
ひとつの人生の総括をしたら、ゆっくり休んでください、と祈りました。
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