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「お前にできることは、何もなかった」

『MIU404』・・・、この作品は『逃げ恥』『アンナチュラル』などの名作を書いた野木亜紀子さんの今期のドラマです。
警視庁・第4機動捜査隊という架空の部隊のお話、志摩(星野源さん)と伊吹(綾野剛さん)がダブル主演です。
予告を見ていた段階では、「警察モノかぁ・・・」「カーチェイス的なのがあるやつかぁ・・・」と視聴を迷っていましたが、観て良かった。やっぱり野木作品、毎話毎話面白いのでした。

今回の第8話。
殺人事件の犯人が、伊吹の恩師である元刑事のガマさん(小日向文世さん)だった・・・という しんどい結末でした。
少年時代、貧しさからナメられまいと喧嘩三昧で相当クサってたという矢吹は、担当してくれていたガマさんのおかげで刑事を志し正しい道へ戻れた、自分を信じてくれたのはガマさんただ一人だった、ということでしたが、
そんな大切な恩人のガマさんは、再犯を繰り返す青年から逆恨みをされて最愛の妻を故意に車で轢き殺されてしまったことで、自分の手で裁くという罪を犯すことになりました。

ガマさんの犯行を疑うしかなくなった伊吹が、ガマさんに迫りガマさんの犯行告白を聞き、
「俺は、いつならガマさんを止められたの?」「どうすればよかった?」
と泣きじゃくりながら問いかけるシーン、
そしてそれに対して、手錠を掛けられ連行されるガマさんが志摩を通して
「あの子・・・伊吹に伝えてやってくれ。『お前にできることは、何もなかった。何もだ』」
そう伝えるシーンは、たまらなかったです。

人は、大切な人に取り返しのつかないことが起こったとき、自分にできることはなかったのか?と自問し、自分が助けにならなかったことを責めます。
そのことが重く胸に迫りました。

私にも、悶えるような後悔と自責に苦んで、そしてこのドラマのセリフのように「自分にできることは無かったんだ」と思い知り受け入れた経験があります、これまで生きてきて何度か。

前の回で、同じように志摩も大事な相棒を自分のせいで死なせてしまったと傷つき自分を責めていたことが描かれていましたが、その事件の真相を解いてくれた伊吹を、今度は志摩が支えんと気遣い、初めて「相棒」と呼び手を握ったラストに、悲しくてもやり切れなくても絶望しそうでも、人は自分を想う誰かによって、また立って歩いていくことができるのだなぁと思いました。

ほんとに野木亜紀子さんって方には、これを描くのか、こっちから見せてくれるのか、と唸らされます。
『アンナチュラル』もそうでしたが、この社会に起こっている問題を扱い、弱い者に光を当て、不条理さを突き付け、救いの無さを描き希望を描きます。
こういう作品に出会う度、あぁドラマって楽しい、やめられない、と思います。子どもらからは「お母さん好きだねぇ」「週に何本見てるの?」と呆れられるのですが・・・。

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