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『もしものせかい』ヨシタケシンスケ

アメリカ・ミシガンのジョンソン祥子さん…3月に亡くなった柴犬マルちゃんのお母さん…が、何日か前にインスタで、ヨシタケシンスケさん著『もしものせかい』を紹介されていました。

★マルちゃんが亡くなったというお知らせがあったときに書いた記事「奇跡みたいな日々(2023.03.16)」はこちら。

 

私はこの本『もしものせかい』は持っていたので、久しぶりに書棚から出してきて、読んでみました。読む、と言ってもこの本は、短い文と絵でつくられています。

「やあおはよう。とつぜんでもうしわけないんだけど ボク もしものせかいにいくことになりました—-」
いつもいっしょのあの子がどこかへ行ってしまう。 どうして君なの? どうして今なの?

そんなふうに始まるお話で、大事なものを突然失ったときや思いがけない別れが訪れたとき、 心にぽっかりと空いた穴は一体どうしたら・・・ということを綴ったお話です。
愛犬マルちゃんを失った祥子さんも「自分の前から消えた大切なものがどこにいくのか」についてのヨシタケさんの解釈に癒される、と書いてらっしゃいましたが、”もう戻ってこない大事な何か” が いる/ある 場所が、本のタイトルでもある「もしものせかい」。
私たちが暮らしている「いつものせかい」に対して、その人の心の中にあるもうひとつの世界が「もしものせかい」。
そう、とても易しい優しい絵と文で綴られている、静かで深い、スピリチュアルな内容、大事な内容なのです。

「もしものせかい」に【移動】してしまった大事な人、大事なものは、もう触ることはできないけれど、「きみのなかに ちゃんとある」、「きえて なくなったりしない」とあります。「もしものせかい」も「いつものせかい」も どちらも「きみのせかい」なんだ、と。

私がとても共感したのは、そこでした。
「もしものせかい」が大きい人であればあるほど、つまり、もう戻ってこない人や物や過去の出来事、それらを失ってしまった気持ち(寂しさとか悲しさとか喪失感とか…)が心の中にたくさんある人であればあるほど、現実の世界「いつものせかい」も、大きく膨らませることができるはずなんだ、という部分でした。

「もしものせかい」というのは、「きみだけの、きみのための、エネルギーのかたまり」のこと。
どちらも 「きみのエネルギー」でできているわけだから、いまは「いつものせかい」の方が、萎んで小さくなっているとしても、それはまたそのうち「ゆっくりゆっくり ふくらんでくる」、「たとえ きみが なにもしなくても」。

心の中の世界に辛いものをたくさん持っている人であればあるほど、いつか現実の世界の方も、大きく膨らませてゆけるものなのだから、悲しみや寂しさは、無理せずそのまま抱えていていい、そのままでいい、そう言ってくれている、優しい本、癒される本なのです。

大切な人や大切なものを失って苦しい思いでいる方には、手に取ってみていただきたい本です。

 

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