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坂道の二人 ~ドラマ『あなたがしてくれなくても』

私がドラマ好きと知っているお客様は、毎期、セッションのなかで「〇〇(というドラマ)見てますか?(見てますよね?)」と言って、ドラマを観ての感想とご自身の相談内容を絡めながら、お話ししてくださいます。

今期の『あなたがしてくれなくても』は、そういうことが多いドラマでした。
パートナーとのセックスレスの問題、レスは別にしてもコミュニケーションが難しくなってしまった、という話、自身の「キャリア」と「妻として母としての役割」との間に生まれる葛藤のお話など、ドラマで描かれていたことを自分の身に照らして、いろいろと考えてしまっている・・・と。

ドラマは昨晩最終回を迎えましたが、ネットには賛否両論たくさんの感想が出ていました。
賛否の “否” の方の人は、
タイトルの「あなたがしてくれなくても」に続くのは「あなたはしてくれなくても私は(別の人と)幸せになる!」ということだと思って視聴していた、そんな結末に期待していたのに・・・とか、
結局、みち は 離婚した陽一(陽一は “妻だけED” ) と再び暮らし始めた・・・という結末に、スッキリできなかった、結局問題は解決していないじゃないか。
・・・というふうに思ったようです。

ドラマは3か月(10話くらい)で一応お終いになるし、視聴者はそのひとつのお話(最終回)に、人によってはカタルシスや爽快感や希望を期待したりするものだと思うし、何より本作は “身につまされながら” 観ていた人も多かったと思うので、その否定的なコメントは解るなぁと感じました。

私が、見終えて興味深かったなと思えたのは、セックスレスが原因ですれ違っていた2組の夫婦、4人それぞれが、「離婚」というひとつの結論を導き出したその後に、元配偶者の人間そのもののことを余裕をもって見て我が身も省みていることでした。
つまり、結婚している間は、相手の気持ちを慮るより自分の気持ちや欲求が優先で、相手にそこを大事にされないことに、不満や悲しさ寂しさを抱いていました。結婚と言う一つの安定した形を確保したことで、もしかしたら相手に対しても自分に対しても、思いやりのない雑で怠慢なことをしていたかもしれません。
それが、よく言われるように「失ってみて初めて気づく」ことというのは大きいので、いろいろと浮き彫りになった “各々にとっての大事なもの” が、その後の選択や決心に繋がっていくのだと思います。

私がやりたいこと、私の欲しいものものってなんだろう。
自分も他人も変わっていくけれど、変わらずに「失えない」と思えるものってなんだろう。

ほんとに人それぞれのそれを、我が身に照らせた人には良いドラマだったんじゃないかと思いました。
人生って、目の前に現れる誰かや何かをどうするか、ということの連続で、全自分を覆って飲み込んでくるような大きな出来事は、越えたところで “ひと休み(ときに大きめのお休み)” もするけれど、「もうお終いだ」「完全に詰んだ」と言ったところでお終いじゃない、詰んでなんかいない、とにかく積み重なっていくし続いていくものです。

その都度その都度、自分の自分らしい良き部分に尋ねて、自分らしい決断をして行動して、やっていくしかないよね、と、最終回最後のシーンの「坂道の二人」を見て思いました。

 

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