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クライアントの依存。カウンセラーの在り方。

お客様から「カウンセラーへの依存」についてお話を聞くことが、ときどきあります。
「カウンセラーに依存しそうになります。これは良くないことですよね?」という質問だったり、
「カウンセラーが依存させようとするのが怖くて、逃げたことがあります」という体験だったりします。

カウンセリングというのは、クライアントがカウンセラーを信頼できないと、進みません、深まりません。
そもそも、多くのクライアントには「自分を開示するという経験に乏しい」「健全な依存を知らない」ということがありますから、先ずは相手(カウンセラー)を信じて、自分の心を緩め、開いて、しっかり頼ってみる・・・という体験が必要です。だから依存を怖れる必要はありません。というか依存を怖がっている段階では “まだ始まっていない” といえます。

つまり「依存」については、クライアントが気を遣うところではなく、カウンセラー側が、しっかりコントロールすべきことなのです。

でも、未熟なカウンセラーには、そのコントロールができません。
私も、自分自身を振り返ると、そうであったと思います。
役立たずだと思われたくない、良い人だと思われたい、必要とされたい、離れていってほしくない・・・という欲求があったから、耳触りの良い言葉を選んで発し、ひたすら優しくするカウンセラーとして接し、クライアントの依存をそのままにしていました。

自分に未解決な問題があって、心の傷つきを癒せずに抱えていると、クライアントを無意識に依存させてしまうのだと、今はわかります。
クライアントの依存心を利用して、クライアントのエネルギーを搾取して、自分が癒されようとする・・・
これは、無意識にやってしまうことではありますが、やっぱりダメですね・・・。

でも、カウンセラー自身が、自分の心に出来るだけ死角をなくし、風を通し、己を満たして自分で立っていられるようになると、そんなことは無くなります。
自分のことを信じているカウンセラーは、クライアントの持つ、自分で良くなり自分で変わっていく力もまた同じように、当たり前に、信じているものだからです。

カウンセラーも未熟な人間なので、生きている限り進化中、生きている限り自分自身の課題を持っています。
そのことは自覚しつつも、こころの問題を扱うプロとして、自分が進めた分、自分が深めた分は大いに使いたい、クライアントに安心して寄りかかってもらえる存在でありたい、そう思います。

カウンセラーとクライアントの健全な依存関係(・・・これは、互いを尊ぶ温かい関係でもあります・・・)によってクライアントが体験する本物の変化を、私はいちばん大切にしています。

 

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