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「黙ることで相手に思い知らせる」というやり方

私が幼い頃に身につけてしまった 良くないクセのひとつに、「黙ることで相手に思い知らせる」というものがありました。

いろいろな意味で余裕のなかった両親に対して、何か(たとえば、どこか体が痛いとか、誰々に嫌なことを言われたとか、そういう訴えだったり、こういうものが欲しい、こんなことをやってみたい、という希望だったり・・・)を伝えるとき 私は、日頃からすごく気を遣って工夫をして伝えていましたが(咎められないように・・・、受け入れてもらえるように・・・と)、
でもやっぱり、怒られたり罵られたり非難されたり、ときには叩かれたり・・・という、「ああ、言うんじゃなかった・・・」というオチで終わることがとても多かった。

そういう体験の積み重ねは私にとって、
私の言いたいことは受け止めてもらえない、親の得にならないことは言っても仕方がない、メリットがないどころか酷い目に遭ってしまう、辛がったり悲しんだり、何かを欲しがったり・・・という表現はどうせ踏みにじられる・・・
そういう “学習” であったわけなのですが、それゆえ人生の早い時期に、こう決めてしまいました。

いい話でない限り 何も言わないでおこう。
辛いときは特に それを隠そう。
何か伝えたかったら態度で示すだけにしよう。

そしてさらに、その「言葉にはせず、態度で示すこと」が意外と、親の気を引いたり、親の罪悪感や譲歩を引き出したりするものなんだ、と知ってしまったものですから、私はだんだんと、親に限らず誰かに対して、特に辛いときは、それを素直に表現することなく、黙ることで伝える(思い知らせる)というやり方を、使うようになっていきました。
「黙ることで懲らしめてやる」というふうにも思っていたと、思います。

親からは「おまえは素直じゃない」「子どもらしくない」と 100万回(!) 言われましたけれど、あとになって、あんな両親じゃあ無理だったよなぁ・・・、あれは子どもながらに弱ったり傷ついている自分のことを守ろうとして一生懸命やっていたことなんだよなぁ・・・と思いました。

そしてその上で、「あの頃はそうするしかなかったよね」「大変だったよね」と改めて自分を労ったり、本当はどんなふうにしてほしかったのか よく聴きとって、とにかく自分自身だけは理解をしていることを伝えてやったり、そして場合によっては、ちゃんと相手に伝えてみる練習を自分にさせたり・・・、そんなことをやりながら過ごしてみました。当時はインナーチャイルドなんていう言葉は知りませんでしたが、自己流のインナーチャイルド教育ですね。

「黙るクセ」・・・というのは「クセ」なんだから、しっかり「意識」して直していこう、そう思って取り組んで・・・
なかなか長い時間がかかったと思いますがちょっとずつ、素直に自分を表現することができるようになっていきました。
「どうせ解ってもらえない」「どうせ傷つくことになる」・・・そう思って 何かと黙ってしまうのはもうやめる!と、独りこっそり宣言したりしましたが、素直に誠実に表現するというのを実践するようになったら、人生がどんどん好転して楽しくなりました。これは、自信を持って言える「明らかな成果」だと思いました。

そんな私なので 今は、「言いたいことほど言えずに黙ってしまう人のこともよく解るし、でも言えるようになるとすごくいいよ、ということも身をもって知ってます」と言えます。
カウンセラーとしては、”そんな私ならではの援助” ができます。

これは、苦労して克服してよかったなぁ・・・と思うことのひとつです。

 

 

 

 

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