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子どもがみんな巣立った後

やましたひでこさんの「ウチ、断捨離しました」という番組が好きで録画して見ているのですが、今回は、20年前に37歳でご主人と離婚してから一人で3人の子どもを育て上げた、という女性のお話でした。
3DKのマンションに独りで住むその女性のお家の中は、自分が溜め込んだ物と子どもたちが残していった物でいっぱい。ぎっしりと溜め込んで動かせなくなっているのは「物」でもあるけど「気持ち」「母親として生きた時間」だということがわかるので、画面越しに見ていた私にまで痛々しさが伝わって来て息苦しくなってしまう・・・というお部屋でした。

やましたさんはいつも、訪ねた家の問題を見つけ出すのが素早くて、どこから解決に持って行こうかというお見立ても的確ですが、ズバリと辛辣です。
でも、そのやましたさんは今回、「どうしてこんなふうになっちゃったの?とは聞かない。過去にいろいろなことがあっただろうなって・・・、そういう経験がなきゃこんなふうにはならないのがわかるから」と言いました。
そう言われて、女性は涙していましたが、私も瞼の裏ががくんとなりました。一人で3人のお子さんを、どれだけ一生懸命に育ててきたことか・・・。

でもその女性は、覚悟を決めていて、それはとても強い意思のようでした。
まずは(部屋の)現状を変えることが先、というやましたさんの言葉に鼓舞された女性は、「過去の宝物ではなく過去の残骸と暮らして」いるとやましたさんに言われた家と決別すべく、作業を進めていきました。

印象的だったのは、子どもの物は勝手に捨てられない、訊いてみないと・・・、ここへ来させて手伝わせようか・・・と連絡を取るも、3人とも来てくれなかった、というところでした。
寂しそうでしたがそこは受け入れ、この断捨離作業は自分自身のマターなのだと心を決めて取り組みました。
真面目で頑張り屋で気持ちの強い人に多いですが、その女性もまた「他人に頼れず一人でなんでも抱え込む」というタイプのようでした。その彼女が今回は「他人の手を借りる」「助けてもらう」という “新しいこと” をやってみた、というのが良かったです。
子どもたちは手伝いに帰って来てはくれなかった、助けてくれたのは他人だった、ということ、これは初め寂しかったでしょうが、子育て時間の「卒業」の良い機会になったでしょうし、これからどう生きていこうか、ということに心を向けられたのではないかしら。
見違えるようになり、風の通る明るく気持ちの良いお部屋を作った女性に、おめでとうございます!と心の中で言いました。

「子どもはここを卒業していった、卒業してないのはお母さん」というやましたさんの言葉、私も身につまされる思いがしました。
あの時代に得たものを宝物としてしまって先へ行く・・・、これは、なんとなく出来るものではないのかもしれません。
子どもたちに置いていかれたから仕方なく自分も・・・という姿勢も不十分でしょう。

ちゃんと区切りをつけて新しい章を始める。そのために「物」と向き合い「物」を捨てる、「場」を作る、というのは本当に有効。
それをしみじみ思った回でした。

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